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9

それからの竜馬さんは、今までの事が嘘のようにとても優しく僕に接してくれるようになった。階段から落ちた僕は、栄養失調と打撲、ねん挫で二週間ほどの入院だったんだけど、松葉杖で移動できるのに頑として許さずどこに行くにも抱いていくし、トイレにいたっては『誰がお前のかわいいチンポを覗き見るかわからない!』と言ってベッドの上でさせようとする。ほんとに恥ずかしくて、頼むからあまり過保護にしないでほしいとお願いしたら渋々だけどトイレは個室に入るのを条件に行くことを許してくれた。

あと、僕はまた少し太り始めた。何故かというと、竜馬さんが甘いものばかり買ってきて食べさせるからだ。

「女の代わりじゃねえ。今のお前も嫌いじゃねえけど、俺のせいで痩せたんだからやっぱり元に戻ってほしい。ぷにぷにして気持ちいんだよ。それに太ってくれた方が好都合だ。一般的にぽっちゃりを好む奴はあんまりいないだろう?ま、いてもぶち殺すが悪い虫があんまり寄ってこないようにしとくに越したことはないからな」

そう言って、にこにこと笑いながらスプーンにデザートを掬い、あ〜んをしてくる。言われたことがすごく複雑。けど、僕が食べるとすごく嬉しそうな顔をするから、竜馬さんのその顔を見て僕はやっぱり言いなりになっちゃうんだ。


退院してからも、竜馬さんは本当に溺愛してくれている。チームのみんなにも、自分の非を非難覚悟できちんと話し、僕を恋人だと改めて紹介した。その報告に、あの時竜馬さんに意見した下っ端に人がとてもほっとした顔をして僕に微笑みかけてくれたのがとても嬉しかった。竜馬さんは、その下っ端の人にも自分が殴ったこと、意見を聞かなかったことに対して謝罪をした。そんな竜馬さんに、チームの人たちはますます見直した、と尊敬したみたいだ。チームの皆も、僕を竜馬さんの恋人としてきちんと扱ってくれている。…でも、竜馬さんは絶対に僕を抱こうとはしなかった。いつもいつも、優しいキスをくれてただ僕を抱きしめるだけ。
僕はある日、ひとつの決心をして先に総長室で待っていた。

30分ほどしてから。竜馬さんが総長室に来た。ベッドの上に座る僕に、優しく微笑み近づく。僕は立ち上がり、シャツのボタンに手を掛けた。

「シン…!?」

突然服を脱ぎだした僕に、竜馬さんがおろおろと狼狽え目をさまよわせる。

「っ、悪い、着替えるのか?じゃあ向こうむいてるから…」

僕にくるりと背を向けた竜馬さんに、僕は一糸まとわぬ姿になってその背中に抱き着いた。

「…竜馬さん。僕を、抱いてください。」

僕の言葉に、竜馬さんが体を固くする。

「あなたが好きです。愛してます。…だから、もう一度僕をあなたの物にしてください」

竜馬さんは僕の手を掴み、ゆっくりとこちらを向いた。…その眼は、涙に濡れていた。

「…いい、のか…?抱かせて、くれるのか?…もう一度、俺の物になってくれるのか…?」



竜馬さんは、きっと僕を無理やり凌辱したことを激しく後悔していたのだろう。きっと思いが通じ合ってからも、あの時の僕と同じで僕の気持ちを心からは信じられなかったんだと思う。だから、僕に自分から触れようとはしなかったんだ。

…本当に、臆病で、なんてかわいい悪魔なんだろう。

僕はにこりと微笑み、初めて自分からキスをし、そして竜馬さんの手を取り、自分の胸に押し当てた。

「…僕、好きな人に、恋人として抱かれたい…。」


僕の言葉に竜馬さんは急に目つきがギラリと変わり、押し当てている手をぐにぐにと揉むように動かし始めた。

「ああ、いくらでも抱いてやるよ。このぷにぷにのかわいいおっぱい、めちゃくちゃにしてやるからな?」

そうして僕を思い切りベッドに押し倒す。あの時は死ぬほど嫌だったこの胸を揉みしだかれる行為が、彼からの愛情を示す行為なんだと知って、僕は恥ずかしいけどもっとしてほしいと思った。



臆病な悪魔に囚われた僕は、壊れたいと願った心と体を自分から差し出した。
悪魔に囚われるのも悪くない。そう、心の中で思いながら。


end
→あとがき

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