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6

僕はその行為を嫌がりもせず、泣きもせず黙って受けている。そんな僕に竜馬さんは若干狼狽えたように見えた。

「きちんと躾けなおさねえといけねえらしいな。ここで犯してやろうか。てめえは玩具なんだって理解させてやらねえとな」


ぱしん!


僕らを見ていた周りの不良たちから、ひっと驚いた声があがる。


――――僕が、竜馬さんを叩いたからだ。

頬を叩かれた竜馬さんは目を見開いて驚き、唖然と僕を見つめた。


「…っ、卑怯者…!」


ボロボロと泣きながら、竜馬さんに向かって叫んだ。


「やればいいじゃないか!みんなの前で!僕を好きに、乱暴に扱えばいい!
優しくなんて、してほしくなかった!玩具だって言うなら、玩具らしく扱ってくれればいいのに!どう、して…!どうして、僕に優しく触れるの…!どうして壊してくれないの…!」

僕は下にいる女の人をキッと睨んだ。

「あなたは、平気なんですよね。好きな人に玩具だって言われながら抱かれても大丈夫なんですよね?だったら、僕と代わってください。僕はもう耐えられない。好きな人に、好きだということも許されずに心を殺したまま抱かれ続けるのは、もう我慢できない…!」

僕の言葉にその場にいたすべての人が言葉をなくし、目を見開いた。

「…っ、おま、え、今、なんて…」

竜馬さんが、信じられないと言った表情をしている。それがどういった感情からきている表情なのか、僕にはわからないけれど。

「もう、いやだ…。ひどいよ、竜馬さん…。どうして、どうして僕を捕まえて離さないの…?どうして心にまで触れてきたの…?苦しいよ、苦しくて死にそうだ…!こんな、こんな思いするくらいなら心なんていらない。心も体も壊してほしい。壊れたいよ…!」

そこまで叫んで、ぐらりと足元が揺れるのがわかった。

「シン!!」

階段下に落ちた僕の耳に、竜馬さんの叫ぶ声が残った。



僕は夢を見た。とても幸せで、とても残酷な夢。僕は好きな人に優しく愛を囁かれながらその腕に抱かれている。僕に微笑み、愛おしいと伝えてくれる。…そんな、甘い残酷な夢。これは、夢だ…。だってあの人が、僕を愛してると言ってくれるはずなんてないもの…。
つう、と涙が一筋頬を伝う。僕はそのままゆっくりと意識を浮上させた。

目が覚めて最初に目に入ったのは、真っ白な天井だった。消毒薬のつんとする匂い。…ああ、病院なんだ。でも、どうして…。
周りを見渡そうとした僕は、ふと自分の手が何か温かいものに包まれているのに気が付いた。ゆっくりと視線を温かい方の手に向ける。



…そこには、僕の手を握りしめながら眠る竜馬さんがいた。

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