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『21時、公園』


呼び出しのメールに従い、僕はのろのろと公園に向かう。今日は一段と足が重い。体もふらつく。頭がぼうっとする。

「遅えんだよ、デブ!体が重いからってちんたら歩いてんじゃ…」

公園に着いた僕を迎えに来ていた下っ端が、僕に気づき文句を言おうとして言葉を止めた。

「…すみません…」
「…い、いや…。…行けるのか?」
「…?」
「…お前、顔色が…。…いや、なんでもねえ。総長を待たすわけにいかねえ。さっさと行くぞ。」


下っ端はそれきり一言も話すことなくバイクを走らせた。店についても、総長室に向かう僕を無言で送る。…いつもなら、僕をひどく罵りながら笑うのに。不思議に思いながらも総長室に向かうと、竜馬さんはちょっと買い物に出ているから、すぐに戻るのでここで大人しく待つようにと言われた。ベッドで座って待っていると、外が騒がしくなる。竜馬さんが帰ってきたんだろう。…だけど、何かいつもと違う。気になった僕は、総長室のドアを開けてそっと階段を降り、溜り場の中を見つからないようにそっと覗き込んだ。

「竜馬!お願い、もう一回やり直したの!」
「…チッ、てめえとは終わりだっつったろうが。うぜえんだよ、出ていけ。」

そこには、あの日竜馬さんといた女の人がいた。必死になって竜馬さんにしがみつき、懇願している。それを見た僕は、ずきりと胸が痛んだ。


「ね、お願い!中出しが心配なら、あたしピル飲むからさ!玩具だっていいよ、竜馬が好きなの!あんなデブ、もう捨てちゃってもいいじゃん!だいぶ遊んだんでしょ?」

女の人が言うと、竜馬さんはひどく不機嫌な顔になり女の人を睨んだ。

「総長…、すみません」
「あ?なんだ」

ふいに、僕をここまで連れてきた下っ端の人が竜馬さんに声を掛ける。

「…俺も、あいつはもう手放した方がいいんじゃないかと…。」

下っ端の人の言葉に、竜馬さんの目の色が変わった。ずかずかと目の前まで行くと、胸ぐらをつかみ睨みつける。

「…てめえ、この俺に意見するなんざ何様のつもりだ、ああ?てめえもあれか、この馬鹿な女みてえにあいつ以外の玩具を見つけろってのか。」
「そ、総長…!だって、あいつ…!…っぐう!!」

下っ端の人が続きを言う前に竜馬さんが思い切り殴り飛ばした。

「あいつは俺の玩具だ。あいつをいつ手放すか、どう扱うかは俺が決める。この俺に口出しするんじゃねえよ!」

そう言って総長室に行くためにこちらへ向いたとき、竜馬さんが階段にいる僕に気づいた。

「…何してんだ。部屋で待ってろって言われたろうが」

怒ったように言う彼の顔を見て、僕は決心して口を開いた。



「…僕、もうあなたの玩具やめます…」


僕の言葉に、その場にいた全員が息をのむ。竜馬さんは目を見開いた後、怒りの表情でずかずかと僕に近づいた。

「そう言われてはいそうですかなんて言うと思ってんのか?てめえにゃそんな権利なんてはなっからあるわけねえだろうが。おら、部屋に戻るぞ。」

僕の腕をつかみ、ぐいと引っ張り総長室に引きずっていこうとする竜馬さんに、僕は初めて抵抗した。

「もう、いやです。権利とか、そんなの知らない。もうあなたに抱かれたくない。」
「…っ、うるせえ!」

竜馬さんは僕を階段の壁に、だん!と押し付けた。溜り場にいる皆が階段下から僕と竜馬さんをおろおろと見比べる。竜馬さんは僕の前髪を掴み顔を無理やり上げさせた。そして、もう片方の手であの日のように僕の胸をぎゅうと掴む。

「最近ちょっと扱いを優しくしてやったら、調子に乗ったのか?てめえは玩具だ。てめえをどうするかは俺が決める。他の誰だろうが、口出しするなんざ許さねえんだよ!」

そう言って、掴んだ僕の胸をぐにぐにと揉んだ。

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