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3

ぐしゃぐしゃの僕を総長は軽々と抱き上げ、風呂場に連れて行き後処理をした。

「大人しくしてろ。処理しとかねえと腹を下す。明日そんな状態だと役に立たねえからな」

泣いて嫌がり暴れる僕を押さえ込み、そう言った。
…また、明日。
その言葉に、体がびくりと硬直した。

すべての処理が終わると、総長はチームの下っ端に僕を送らせた。

「くくっ、かわいそうになあデブ。ま、総長が飽きるまで玩具として遊んでもらえ。飽きられたら今度は俺らが玩具にしてやるからよ」

僕をバイクから下ろすとそう言って、がつんと一発殴ってから笑いながら去っていった。


家の中に入り、寝ている家族を起こさないようにそっと自室へ戻る。電気をつけ、パジャマに着替えようと服を脱いで鏡に写る自分を見た。


花びらを散らしたように、そこかしこに鬱血のあと。暴行を受けた痕よりも鮮明に僕の目に写った。


ぽたり、ぽたり。


涙が、ひとつまたひとつと落ちていく。
僕は確かに彼らに比べると太っている方に入るだろう。だけど決して丸々と太っているわけじゃない。だから胸だって、女の人みたいに完璧に膨らんでいるわけじゃなく、言うなればちょっとでて見えるくらいだ。

なのに、なぜ。

女の人の代わりなら、僕じゃなくてもよかったはず。


「う…ぅ…」


あのコンビニにさえ行かなければ。あの時、公園さえ見なければ。



ピロリリン



携帯の新着メールの音が鳴る。


『明日21時公園』


僕は自分の行動を激しく後悔し、携帯を握りしめて泣いた。


その翌日から、僕は毎日のように竜馬さんに呼び出され、犯された。『総長』と呼んだら、『竜馬と呼べ』と怒られた。仕方がないので竜馬さんと呼んでいる。
毎日彼に抱かれているうちに、僕は彼の態度に困惑するようになった。何故かというと、彼は僕を犯し、事が終わると僕をぎゅうと抱きしめる。抱きしめたまま、余韻に浸り息の整うのをゆっくりと待つのだ。そして落ち着いたら、風呂場に抱いて連れて行きとても丁寧に僕の後処理をする。

「玩具が壊れちまったら意味ねえからな」

などと言われ、それもそうかと思いつつも優しく触れる彼の手にいつしか恐怖以外の何かを感じ始めていた。



ある日、いつものように呼び出され服を脱ごうとすると竜馬さんにその手を止められ、ソファに座らされた。初めて犯されて以来、そんなことは初めてなのでおどおどと挙動不審になってしまう。すると彼は冷蔵庫から何かを取りだし、僕の目の前に置いた。
それは僕の大好きな、あの日コンビニで買ったデザートだった。


「食え」


言われた意味がわからなくて、デザートと竜馬さんを何度も見比べる。

「…お前、それが好きなんじゃないのか。食え。」

確かに、好きだけど。…好き、だったんだけど。

「…いりません」
「いいから食え。それともなにか、俺の前じゃ食えねえってのか」

拒否をした僕にいらいらと竜馬さんが言う。…言ってもいいだろうか。怒られたりしないだろうか。

「僕、これ、食べられないんです…」

僕の言葉に竜馬さんが怪訝な顔をした。僕はこのデザートを買いに行った帰りにこんな目にあった。そのトラウマで、このデザートだけ食べられなくなってしまったのだ。
下を向きながらそう言うと、竜馬さんが舌打ちしたのが聞こえた。

「なら何なら食えるんだ」

竜馬さんの言葉に、目を見開いて顔を上げた。なんでそんなこと聞くんだろう。竜馬さんはいらいらと膝を指で叩いている。

「…ブドウのゼリー、とかなら…」
「ちょっと待ってろ」

竜馬さんは僕を残し、部屋から出て行った。しばらくしてから、小さな袋を片手に戻ってきた。むすっとした顔で袋から何か取り出し、僕の目の前に置く。

「これなら食えるんだろうが。食え。」

それは先ほど答えたブドウゼリーだった。なんで。どうして、こんなことするんだろう。
どうしようか迷ったけど、竜馬さんがあまりにもじっと見てくるので仕方なしにゼリーを手に取った。

「…い、いただきます…」

恐る恐るふたを開け、スプーンで一口掬って口に入れる。

おいしい…。

ここ最近、食欲がめっきり落ちてしまい甘いものを口に入れるのは久しぶりだった。ほんの少し、口元が緩む。ふと視線を感じて目を向けると、竜馬さんがなんだかほっとしたような顔をしていた。



…とくん…


その顔を見て、僕は胸がひとつ高鳴った。
僕が見ていることに気付いたのか、一瞬にして怒ったような顔をする。


「勘違いすんなよ。てめえ最近痩せたような感じがしてな。抱き心地がよくねえんだよ。せっかく見つけた女の代わりなんだ、胸が揉めねえと楽しさが半減するだろうが。玩具なんだから玩具らしくしろ」
「…はい…」



吐き捨てるように言われた言葉に俯いて返事をし、黙々とゼリーを食べた。


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