×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




4

「姫ちゃん、飴食べない?」
「ほらほら、姫ちゃんの好きな限定チョコレートだよ〜」

次の日。利紀は真っ赤に晴らした目で教室の自分の席に座っていた。利紀の様子に、ご機嫌をとろうとファンたちが次々といろんなものを差し出してはちやほやと声を掛けるも、その全てを利紀は無言で首を振り拒否した。
あまりの利紀の落ち込み様に、ファンたちはもうどうしていいかわからない。『姫ちゃんがこうなったのも、あいつのせいだ』などと大貴を逆恨みをする輩まで出てきてしまった。登校してきたら、文句を言ってやる!皆が大貴に恨みを向ける。当の大貴本人は、まだ教室に来てはいなかった。


ピンポンパンポーン


異様なムードの漂う中、教室のスピーカーから放送の合図が流れた。


『あー、あー。入ってるかな?みんな、聞こえる?』


スピーカーから聞こえてきたのは、大貴の声だった。いったいなにを始めるつもりだ。
皆がスピーカーにくぎ付けになる。


『学園の皆さんにお知らせがあります。』


野村、くん?
利紀も、重い頭でぼんやりとスピーカーの音声に耳を傾ける。

『二年F組、野村大貴。同じく二年F組の、上木戸利紀に告ぐ。告白してくれてありがとう。嬉しかった。恥ずかしがりやなお前の意志を尊重したかったけど、お姫様を守ろうとする輩が邪魔くさいので強硬手段に出ることにします。
――――君が好きです。今からお前を奪いに行くから待ってろ。』


プツリと放送が切れ、皆が唖然と立ちすくむ。今、何ていった?次第にざわつく教室の中、利紀はまだ微動だにできなかった。

…なんだったんだろう。夢の中なのかな?今、放送で、野村君の声が聞こえた気がした。…ボクを、何て言ったんだっけ。


ざわつく教室の戸が、がらりと開けられ、一斉に皆がそちらに注目する。
そこには、両手にバラの花束を抱えた大貴がいた。


皆が固唾を飲む中、大貴は無言で教室の中に歩を進める。そして、利紀の前まで辿り着き、利紀に向かって一礼した後その場に片ひざを折って跪き、にこりと微笑み花束を差し出した。

「宣言通り君を奪いに来たよ、お姫様。」

利紀は震える手で花束をそっと受け取り胸に抱く。その瞬間、大貴は利紀をふわりと抱き上げた。

「てなわけで、君たちの大事なお姫様は俺がもらいます。文句があるならいつでもどうぞ。何言われても返さないけどね。」

言うなり、颯爽と利紀を抱いて教室を出て行った。

[ 251/459 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


top