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66666ヒット、よし様リクエストで『平凡(男前)×かわいいで甘々』です。


平凡攻リクエスト、私の書く平凡攻くんを気に入ってくださったのかと都合のよい勘違いをしております!(*´д`*)うふふ

頑張ります!
ではどうぞ♪

―――――――――――

「…見えてるよ、お姫様。」
「あう…」


くすん、隠れてたつもりだったのにな。
指摘されてしゅんとしながら物陰から出る。

「頑張りは認めるけどさ、隠れるならもっと上手くやりなよ。目があっても大丈夫?」

くすくすと笑いながらこちらを見る彼に、ぽっと頬を染め下を向く。


頬を染めるのは上木戸利紀(うえきど としき)、17才。ここ全寮制の男子校において『姫』と呼ばれる男だ。
上木戸は背が低く、とても可愛らしい見た目をしている。可愛らしいのは見た目だけではなく、どこかたどたどしく鈍くさい上木戸は、その愛くるしさから『姫』と呼ばれ、全校生徒に蝶よ花よと可愛がられ大事に大事に扱われてきた。


そんな姫には、心寄せる愛しい人がいた。


野村大貴(のむら たいき)、17才。利紀と同じクラスの、至って平凡な男子生徒だ。

二人は二年で同じクラスになって初めて知り合った。
利紀が大貴に思いを寄せる発端となった出来事は、二年になってすぐの家庭科の授業の時。
調理実習で、カレーを作ることになり材料を切ろうと利紀が包丁を手にした。
途端に、周りにいた生徒全てが慌てて利紀から包丁を取り上げる。
「何してんの姫ちゃん、危ないからだめだよ!」
「そうだよ、僕らが全部やってあげるから姫ちゃんは座ってて!ね?」
皆が皆、かわいい利紀に何かあっては大変と利紀を座らせようとした。


「やめろよ、お前ら。そいつにもやらせろ」



突如放たれたまさかのセリフに、皆が声を発した主を睨む。それが大貴だった。
とんでもない!なんてことを!と喧々囂々、皆大貴を責める。だが、大貴はそんな皆からのブーイングなど聞こえていないかのように包丁を手に利紀の側に立った。

「ん。」

包丁の柄を利紀に差し出す。利紀は大貴と包丁を見比べ、恐る恐る手にとった。

「包丁持つの初めてか?」

大貴の問いかけに、利紀がこくりと頷く。すると大貴は、後ろから利紀を抱き込むように包み、利紀の包丁を持つ手に自分の手を添えた。反対も同じように、材料を持つ手に添える。

「教えてやっから。力入れんな、リラックスして」

利紀の肩の上から顔を覗かせ、利紀に優しく指示をする。利紀は大貴の言うとおり、ゆっくりゆっくり包丁を動かした。

「できた…」

利紀は、生まれて初めて自分でひとつのことをやり遂げることができた。包丁と、切った材料をじっと見る。

「姫ちゃん、大丈夫!?」
「どこもけがしてない?」
「野村、無茶させるなよ!」

はらはらと見守っていた生徒たちが、利紀の周りを取り囲み、口々に大貴を責める。大貴は責められるのもどこ吹く風で、次の準備に取り掛かっていた。鍋をコンロに置いたところで、利紀たちに向き直る。

「あのな、姫だか何だか知んないけどやるべきことをやらせるのが何が悪いの。お前ら、一生そいつの世話焼く気?この学校出て社会に出てもそいつの面倒ずっと見てやれんの?ほんとにそいつの為を思うんならさ、危ないからやらせないじゃなくて危ないことをどう安全に対処するかを教えてやれよ。」


大貴に正論を言われ、皆がぐっと言葉に詰まる。

「カレー、作ってみる?」

大貴はコンロの鍋を指さし、利紀に問いかけた。

「つ、作る!!」

利紀は、何度もこくこくと頷き、大貴の側に駆け寄った。

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