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「なあ、好きか?俺様のこと、好きか?」
「好きだよ。崇が好きだ。」
もう何回目になるだろうか。
原口に甘い言葉とキスをもらったあとからずっと、伊集院は甘えて擦りより原口に同じことを尋ねている。
「どれくらい?どれくらいの好き?一番、好き?愛してる?」
「ふは、どれくらいのってわかんないよ。比べようがないから。一番なんて順番もつけられないくらい。
…ふふ、もう何回目?そんな聞きたい?」
自分を抱きしめながらくすりと笑う原口に、とたんに伊集院はしゅんと眉を寄せうつむき加減になる。
「何度だって聞きたい…だめか?」
そんな伊集院に、ちゅ、とキスを落とし頬を両手で挟む。
「だめじゃないよ、かわいいなあと思って。いいよ、いくらでも聞いて。泣かしちゃった分、俺が甘えてた分、いくらでも言ってあげる。
…愛してる。愛してるよ、崇。あんたもずるい。俺をこんなに虜にするなんて。
俺、今まで正直鳥以外あんま興味なかった。でもあんたに会って、世界が変わった。もうあんたなしの世界なんて想像できない。あんたなしじゃ生きていけない。」
原口の言葉に、体中が歓喜にうち震えた。
伊集院は原口の首に腕を回し、キスをしかける。
「好き、好き。しのぶ、好きだ。離さないで。ずっとそばにいて…」
「あんまかわいいことばっか言われると我慢できなくなっちゃうんだけど。そういえばまだここにいるの?」
二人はずっと飼育小屋の前でいちゃついていた。原口に言われ、伊集院が飼育小屋の中を見上げ、止まり木で眠るインコたちを見つめる。
「…もう少し、ここでこうしてたい…。ここが、俺の原点だから」
「そっか」
原口は伊集院を抱きしめ、二人でしばらく眠る鳥たちのように寄り添いあっていた。
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