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「ご、めんなさい…」
原口の腕を握りながら、伊集院が涙をこぼす。
「ごめ、なさ…、俺、俺、嫉妬して…。だって、悔しくて…。忍は俺のなのに…。」
「伊集院…」
伊集院は、原口の腕の中で体を回し、原口の胸にしがみついた。
「ずるい!忍は、ずるい!こんなに、こんなに俺ばっかり忍を好きでずるい…!
嫌だ、嫌だ!この鳥小屋は、俺様と忍の、二人だけの、愛の巣なのに!知、らない奴、入れちゃやだ…!ひぃ…っく、、俺以外、名前で、呼んじゃいやだあ…!」
泣き叫ぶ伊集院を、原口は思い切り抱きしめた。
「ごめん」
ぎゅうぎゅうと抱きしめながら、謝罪する。
「ほんとごめん。伊集院が、…いや、崇が、そんな風に思ってたなんて。そうだよな、普段からあんたは俺に直球だもんな。俺、あんたに甘えてた」
ちゅ、ちゅ、と涙をこぼす目元に、軽いキスを繰り返す。
「しのぶ…」
「な、聞いて。俺、あんたが好きだ。鳥になんかならないで。あんたが鳥になっちまったら、俺、誰を抱きしめりゃいいの。誰にキスすればいいの。あんたがくれる愛の言葉を、どうやって聞けばいいの。
頼むから、そんなこと言わないで。
………愛してるよ、崇」
とびきりの甘い言葉と共に、とびきりの甘いキス。
伊集院は、初めての『愛してる』に胸がじわりと熱くなった。
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