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やがて、生徒が手を振り小屋から去っていく。
――――問いつめてやる!浮気は許さないんだからな!
原口が一人になった所で、ようやく動くことのできた伊集院はずかずかと原口に近づいた。
「あ、伊集院。仕事終わったのか?お疲れ様」
伊集院に気づき、ふわりと笑いながら自分をねぎらう原口を見て、伊集院は一瞬止まってしまった。
「なにそれ、軍手?どしたの?」
伊集院の握りしめる軍手をみて、原口が首を傾げ指をさす。
「あ、ああ、クラスのやつがくれたんだ。その、俺様と忍にって」
「へえー」
伊集院が一組差し出すと、原口はさっそく手にはめた。
「そっちもかして」
自分がはめおわると、伊集院の持つもう一組を伊集院の手にはめた。そのままぎゅっと両手を握る。
「…はは、おそろいだな」
はにかんで照れくさそうに笑う原口に、伊集院は顔が真っ赤になった。
ちらりと上目遣いで伊集院を見た原口が、ちゅっと軽く伊集院にキスをする。
「…かわいい顔しないでよ。我慢できなくなっちゃうからさ」
伊集院はますます真っ赤になって、ぱくぱくと口を開閉させた。
「さ、掃除しよっか。手伝ってくれるんだろ?」
にこりと笑いながら伊集院の手を引く原口に、伊集院はさっき見た光景をすっかり忘れてしまっていた。
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