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8

「ちょうど和ちんがお風呂に入ってるときで、出ようとしたら留守電に切り替わっちゃって。まあいいかと思ってそのままにしてたら、留守電に吹き込むあいつの声がした。
今日はありがとう、会えてよかった、明日が楽しみだ、って。そんで最後に受話器にキスしやがったんだ」


なにしてくれちゃってんのミシェル。でも俺、それ聞いてない。一夜、消したな。


「…うん、ゴメンナサイ。めちゃくちゃ腹が立って即消しちゃった。俺ね、留守電を聞いて、こいつは絶対和ちんが好きだってわかったんだ。
でも、消した後にちょっと考えちゃって。…怒んないで聞いてくれる?」


一夜が申し訳なさそうに確認を取るから、一応頷く。一夜はそのあと、ひとつ大きく息を吸い込んで、話を続けた。


「和也は、今まで俺以外からの本気の告白を受けたことがあるだろうかって。」


言われて、一瞬思考が止まる。
一夜以外からの、告白。…あるわけないに決まってる。つまりなんだ、それって…


「…俺が、誰かから告白をされたことがないから、ぐらっとくるかもとか思ったのか…?」
「ち、ちがう!そうじゃないよ!」


慌てて一夜が否定した。

「自信がなかったんだよ!だって、俺、和也にちょっとでも気がありそうな奴は片っ端から排除してきたんだ!俺が、他の誰にも和也に告白なんか絶対させなかった!でも、それってただの独占欲で、和也の可能性を無理やり消してたってことだ!そんな純粋培養な和也が、例えば俺の知らないところで俺と同じように愛を捧げる奴が現れたとしたら、和也はそれでも俺を選んでくれるだろうかって!
俺がほかの奴らに勝てるのは和也への思いだけなのに、同じだけ思う奴が現れたら俺はそいつをどう排除していいかわからないんだ…!」


一夜は思いをぶちまけた後、俺にしがみついたままがくがくと震えていた。俺は一夜に、そっと両手を伸ばす。そして、一夜のほっぺを思い切り引っ張ってやった。


「い、いたいいたい!」
「この、バカが!痛くしてんだ、当たり前だ!」


しこたま引っ張ったあと、手を離して一夜に向かい合う。


「ほんと、一夜はバカだ。バカ。ばかばか、バカ一夜!」

バカを連発しながら、じわりじわりと涙が浮かぶ。

「か、和也…」
「俺が、一夜からの想いだけでお前を受け入れたと思ってんの?俺の気持ちはそこにはなかったとでも思ってんの?
俺、俺だって、いつからかなんてわかんないくらい昔から一夜が好きだったのに。お前と繋がったあの日、二人の思いが通じ合ったんだと思ったのに!
今の俺たちは、一夜だけの思いで作り上げたの?俺の思いは、お前に少しも届かなかった?」


ぼろぼろ泣きながら言う俺に、一夜が目を見開く。


「一夜、一夜。好きだ、好きだ。どうやったら伝わる?どうやったら、お前に届いてくれる…!?…っく、…す、きだ…、好きだよお…一夜ぁ…」
「…っ、和也…!!」

一夜が、強く俺を抱きしめた。

「和也、和也…!ごめん、ごめん…!俺、お前が好きすぎて、でも自分の事に必死で…!お前が思ってくれてるの、わかってたのに…!伝わってるよ、ちゃんと…!俺、俺、バカでごめん…!」
「一夜…一夜…」

俺こそ、ごめん。お前にそんな不安を抱かせたなんて。俺、勝手にお前はいつだって俺のことに関しては自信たっぷりなんだと思ってた。
離したくなくて、離れたくなくて。俺は泣きながら、一夜をぎゅうぎゅうと抱きしめた。

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