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5

一夜の笑顔を思い出し、ふと微笑んでそう言うととミシェルがぐいと俺の肩を掴み向かい合わせる。ものすごく真剣な顔だ。

「…カズヤ、ボクだって君を愛してる。カズヤを想うと笑顔がトロケルヨ。カズヤのことは、実はカズヤのママのメールで知ってた。写真をメールで送ってくれてね、僕はカズヤに一目ぼれしたんだよ。
実際に会って、ますますカズヤが好きになった。カズヤ、ボクは男だけど君を心から愛してる。どうかボクの恋人になって。」

そう言ってキスをしようとするミシェルを慌てて制する。なんてこった!だからやたらとスキンシップが激しかったのか!こんな俺に惚れるだなんて物好き、一夜くらいだと思ってたのに!

「ミシェル、ごめん。俺は一夜が好きだから。あいつ以外考えられない、諦めてくれ。」

そう言うとミシェルは目を見開き、その後目の色が変わったのが分かった。さっきまでの雰囲気ががらりと変わり、まるで捕食者のようなオーラがミシェルから発せられている。

「カズヤ、イチヤって言った。恋人、男?」

しまった!無意識に名前で呼んじまってた!ごまかすこともできず、素直にこくりと頷く。そんな俺に、ミシェルはにこりと微笑んだ。

「よかった、じゃあボクが恋人になっても問題ないね。カズヤはノーマルだと思ってたから、落とすの難しそうだと思ってたんだ。」

いやいや、おかしいだろ。だから俺は一夜が好きだって言ってるのになんでお前に落ちる前提の話なんだ。ミシェルは俺をぎゅっと抱きしめてきた。急なことで逃げられず腕の中にすっぽりと閉じ込められる。これ、昨日もやられたけど、ミシェルの方が力も体もでかいから抜け出せない。

「ミシェル、離して…」
「ノン、カズヤ。大丈夫、ボク、イチヤより君を大事にするよ。ボクの国、欲しいものは手に入れる主義。カズヤはボクのもの。」

アメリカはそんな国じゃないだろ!力いっぱい腕を突っ張ろうとするけど、びくともしない。

「ミシェル、離して。俺はお前のものにはならない。一夜が好きだ。一夜じゃないとだめなんだ。」
「カズヤ、どうしてそう言い切れるの?ボク、カズヤを愛してる。ボクだって優しいよ。自分で言うのもなんだけど、顔だって悪くないと思うよ。イチヤとボク、どう違う?」

どう違う、って…
改めて指摘され、思わず考え込んでしまった。一夜とミシェル。どちらも俺を愛してるという。その気持ちには差はないかもしれない。じゃあミシェルの言うように、俺は同じだけ愛してくれる人なら一夜のように愛せるのだろうか。そこまで考えて、目を閉じた。思い出すのは、一夜と過ごした今までのこと。
幼稚園、小学校、中学校、高校。…そして、卒業の迫ったあの日のこと。


「カズヤ…愛してる。ボクを選んで…」

目を閉じている俺に、迷っていると思ったのかもうひと押しとばかりにミシェルが甘くささやきキスをしようとした。

「…」

それを直前で止めた俺に、ミシェルが怪訝な目を向ける。

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