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2

次の日、俺は空港に来ていた。目印になるようにと、『ようこそ』なんて書いたボードを持たされてる。恥ずかしいだろうが。
やがて、搭乗ゲートから1人の青年が現れた。背が高く、さすが鼻も高い。エメラルドの瞳に柔らかなプラチナブロンド。おお、王子だ。王子がいるよ。周りの皆が振り返るほどのイケメンだ。思わずぼへっと見とれたら、その青年は俺の前へとやってきた。

「はじめまして、コニチハ。ミシェルです」
「はじめまして、安西の息子の和也です。日本語上手だね。普通に話しても大丈夫?」
「だいじょぶです。日本にくるためにトテモ勉強しました。カズヤ、よろしく。」

どうやらこの王子が今回二週間引き受ける留学生らしい。母め、絶対顔で選んだな。

「ん、じゃあ行こうか。荷物一個持つよ」
「ノン、大丈夫です。カズヤにそんなことさせられません。」

軽く握手を交わし、案内をしようと荷物を持とうとすると大丈夫だと断られた。別に遠慮しなくていいのに。
首を傾げながら再度言うもまた断られたので、それならまあいいかと先を急いだ。

とりあえず駅から自宅までの道を覚えてもらうために目印になりそうな建物などを教えながら直帰する。

実家につき、ミシェルの部屋を案内する。

「えっと、もう少ししたら親が帰ってくるから。腹減ってない?なんか作ろうか?」

聞くと素直に空腹を訴えたミシェルの為に簡単に卵丼を用意する。エプロンをし、調理する俺をじっと見る。なんだかやりにくいなあ。
できあがった物を食す合間、ぽつぽつと会話をしたり。

「カズヤの部屋、どこですか?」
「あ、ごめん。俺ここに住んでないんだ。ミシェルが二週間住むとこが、元俺の部屋。今日は親が都合つかなかったから1日だけ代理を頼まれただけなんだよね」
「oh…」

ミシェルはなんだかものすごくがっかりしていた。ちょうどその時、玄関がガチャリと開き母親が帰ってきた。

「ごめんね〜和也!はじめまして、いらっしゃい!うちの息子、ちゃんとご案内できたかしら?」
「はじめまして、ミシェルです。カズヤ、トテモ優しかったデス。」

にこりと笑いながら、母親と談笑し始めた。

「じゃあ俺行くよ」
「あ、ありがとうね。一夜君にもよろしくね」
「ボク、玄関までお見送りシマス」

母親に挨拶をし、立ち上がる俺をミシェルが母親と共に玄関まで見送りにきた。同時に電話がなり、母が部屋に戻る。

「じゃあな、ミシェル。二週間楽しめよ。」
「カズヤ」

ミシェルが手を差し出してきたので、別れの握手かと手を出すとがしりと俺の手を両手で握りしめた。えらく熱い握手だなあ。

「カズヤ、アリガト。カズヤはボクが想像してた通りだ。ヤマトナデシコ。」
「は?、…!」

きょとんとしてると、ミシェルに急にキスをされた。

「和也、気をつけて帰るのよ!」

母が電話を終え、パタパタと玄関にやってくる。俺はミシェルに問い詰める時間もないまま、釈然としない気持ちで家路についた。

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