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6

「…今日この時をもって、俺はあんたらと絶縁する。会社は今まで通り取引はさせてもらうが、今後一切親子としての関わりは持たない。
…今まで、ありがとうございました。」

「ま、まて!そうだ、あ、愛人としてなら認めよう!どうだ?」
「そ、そうよ!世間的に発表もできない相手と籍なんかいれるより、その方がお互いのためでしょう!?」

深々と頭を下げる誠二に、尚も食い下がる。

「…その女を連れて出ていけ。ああ、光彦に手を出した貴様等は、事務所に戻れ。上からたっぷりと褒美が待ってるはずだからな」


一切を断ち切った誠二のオーラに、その場にいた皆が息をのむ。


「ああそうだ、今そいつらを引きずり出してくれるなら少しは恩情をかけるように取り持ってやってもいい」


俺に暴行を加えていた男たちが、お互い顔を見合わせたあと誠二の両親と女を掴み、部屋から引きずり出す。引きずられながらも、誠二の両親はずっと狂ったように誠二を呼び続けていた。


しばらくして、部屋の中に静寂が訪れる。俺は誠二に抱きしめられながら、静かに涙を流していた。

「顔、冷やそう。手当しなきゃな。ひどく痛むところとかはないか?」

誠二の問いかけに、首を振る。
誠二は俺に一つキスを落として離れ、救急箱と氷を張った洗面器、タオルといった治療道具を持ってきた。濡らしたタオルを、そっと俺の頬にあてる。


「誠二…、大丈夫なのか?その、よくわかんないんだけど、ハッキングとかデータを盗むとか…」

犯罪だよな?バレたら誠二が捕まったりするんじゃないのか?
心配そうに見上げる俺に、優しく微笑む。

「大丈夫だよ。さっき言ったことだけど、大分はったりも入ってるんだ。本郷コーポレーションはもうずっと大きな負債を抱えてて、いつ倒産してもおかしくない状況だったんだ。だからあいつらは、俺と結婚しようと必死だったんだよ。
俺がしたのは、ずっと奴らがひた隠しにしてた倒産危機の情報データを流しただけ。
それに、その仕事は絶対に足が着かないその道のプロに依頼してるんだ。だから何も心配することはないんだよ。」


俺は誠二をじっと見つめ、優しく微笑む誠二にそっと抱きついた。

「…ごめんな。俺のせいで、ご両親…」
「光彦」


謝ろうとした俺の言葉を遮り、誠二が首を振る。

「親のことは、いいんだ。頼むから、それで謝るのはやめてくれ。元々、親の愛情なんてもらってなかった。それよりも、俺の方こそお前に謝らなきゃなんない。
…ずいぶんひどいことを言われただろう。一生守るって言ったのに…ごめん…」


誠二の謝罪に、今度は俺が首を振る。


「大丈夫。誠二が、来てくれたから。俺、言ったんだ。誠二と、結婚します。絶対、離れませんって。誠二が、言ってくれたから。俺を幸せにするって、言ってくれたから。誠二は、俺を守ってくれたよ。あの言葉が、あのプロポーズがなかったら、きっと俺はまたこの場から逃げ出してた…!」
「…光彦っ…」


誠二が泣きながら俺を抱きしめる。俺も誠二を抱きしめる。


二人、抱き合ったままあの日のように泣き続けた。

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