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クロスケさまリクエストの『5555・その1、もう一度の愛してるの続編』です。

幸せまっただ中の光彦の前に、不穏な影が…。

がんばります!
ではどうぞ♪
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「えっと、にんじんじゃがいも、たまねぎ…」

スーパーの買い物かごを片手に今晩の食材を確認する男。俺、山下光彦。大学三年。
俺はゲイで、今同棲中の彼氏がいる。彼氏の名前は中川誠二。俺たちは、ついこの間までただのセフレだった。色々紆余曲折を経て、晴れて恋人同士になり、さらに誠二からプロポーズをされて今俺は幸せの真っただ中にいる。

よし、買い忘れはないな。
今日は誠二のリクエストで甘口のカレーだ。誠二はカレーだけ、何故か辛い物が食べれないんだって。照れ隠しにむすっとしてそう言った誠二を思い出してくすりと笑う。

スーパーで買い物を済ませて外に出ると、扉の所で人とぶつかりかけた。

「あっ、すみません。」
「いえ。……」

その人は、頭を下げた俺を何やらじっと見つめてきた。
…なんだろう。何かしたかな?

「あの…」

声を掛けると、その人はさっさと立ち去ってしまった。でも、すれ違い立ち去る瞬間。

「…平凡な男。どこがいいのかしら。ふふ、でもすぐに別れることになるけど。」

小声で、そう言った。びっくりして振り返ったけど、その人はもう人ごみに紛れて姿が見えなくなってしまっていた。
…嫌な予感がする…
もやもやとしたまま、家路についた。


「どうしたんだ?それ、できてんじゃないのか?」

ぼうっとしてカレーの鍋を混ぜていたら、誠二からふいに声を掛けられた。

「あ、う、うん。ごめん、ぼーっとしてたや。」

慌ててガスを消し、カレーを皿に盛り付ける。誠二と向かい合って食事しながら、俺は昼間に会った人のことで頭がいっぱいだった。

「どうしたんだ?なにかあった?」

食事を終え、片付けをしていると誠二が後ろから腰に手を回し抱きしめてきた。そして、俺のうなじにキスを降らせる。その仕草から、俺への愛がひしひしと感じられる。

「ん、なんでもないよ。ごめんな、次のバイト何時だっけなってそれだけ。」
「…ならいいんだけど。あ、急で悪いんだけどさ、俺明日出張なんだ。」

誠二は学生ながらに会社を興し、学生企業家として注目されてる。講義の合間を縫って、出張にもよく行ったりするんだ。

「ごめんな、寂しい思いさせて…。」
「何言ってんだよ。たった一日だろ。」
「…お前には『たった』でも、俺には『一日も』なの」

誠二が、むすっとして頭を俺の肩にぐりぐりと押し付けてきた。そんな誠二に胸がぎゅっとなる。…俺って愛されてるなあ。

「いい子にして待ってるんだぞ。変な奴についていくなよ。簡単にドア開けるなよ。」

後ろから俺の顔をそっとつかみ、そこらじゅうにキスをしながら誠二が言う。

「…待ってる。いい子で待ってるから、早く帰ってきて…」

俺は誠二の方へ向きなおり、首に手をまわしながらそう言った。


胸によぎる不安を、押し込めたまま。

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