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6

「洋介っ!!」


先生に手を引かれ家に帰った俺に、パパが手を振り上げた。
――――ぶたれる!
咄嗟にぎゅっと目をつぶると、パパは俺を思い切り抱きしめた。

「心配させやがって…!このバカが…!」

抱きしめるパパが震えてるのがわかる。汗だくで、服もよれよれ。パパ、そんなに必死に俺を探してくれたの。

「パパ…ぁ、ご、めんなさい。ごめんなさい…!ごめんなさい〜!うあああん」


俺はパパに抱きついて、わんわん泣きながら謝り続けた。


「あのさ、パパ。パパは俺の太陽なんだ。んで、先生もパパは太陽なんだって。」
「「えっ!?」」

しばらくしてから、パパは俺と先生を連れて家に入った。散々泣いた俺は、家に入って皆でお茶を飲んでいるときにぽつりと言ってやった。
二人とも目が白黒してる。おもしれー。

「パパ、ごめんね。俺うそついた。先生、つき合ってる人いないよ。先生はね、太陽が大好きなんだって。」
「よ、洋介くん…!」

先生が真っ赤になってわたわたする。

「な、中川先生…」

パパの顔も真っ赤だ。今だヘタレ!言っちゃえ!パパは何かを決心したような顔で、ソファの上で正座をして先生に向き直った。

「…中川礼二郎さん。俺、あなたが好きです。子供たちに向けるあなたの優しさに惚れました!こんな、コブつきの女房に逃げられた情けない男ですが、よかったらお付き合いしてください!」

パパ、ママに逃げられたの!?初めて聞いたよ!びっくりして今度は俺が目を白黒させちゃった。


…まあわからんでもないな。パパ、イケメンで優しいけどちょっとうじうじしてるし、優柔不断だし。気の強い人なら我慢できないかもなあ。


「…ぼ、僕もあなたが好きです…。ぜひよろしくお願いします」
「な、中川さん…!」


真っ赤になって返事した先生を、同じく真っ赤になってパパが抱きしめた。ニヤニヤしながら二人を見てる俺に、パパは先生に見えないようにしっしっと追い払う仕草をした。
はいはい、邪魔者は消えますよ。


「ごゆっくり〜」


いつまでも抱き合う二人をおいて、自分の部屋に戻って少しだけ泣いた。


さよなら、俺の初恋。

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