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「すみません、遅くなりました!」
保育園に、最後に駆け込んできたのが俺のパパ。俺はパパを尊敬してる。だって男手一つで俺を頑張って育ててくれてるんだ。仕事もできるし、家事だって完璧。大好き、だったんだけど。
「いいえ、気にしないでください。お忙しいでしょう?慌てずごゆっくりどうぞ」
「いつもすみません、先生に甘えてばかりで…」
言いながら顔を真っ赤にしてる。わかりやすいんだっつの!
過去形なのはこれのせい。パパ、先生に多分惚れちゃってる。
「あ、あの、お仕事終わりならよろしければ一緒に晩御飯いかがですか!こいつもいますけど!」
「えっ、でも、そんな…」
パパ、グッジョブだ!
「先生、行こー!」
俺は先生に甘えて飛びついてやった。えへん、子供の特権だい!
「こ、こいつもそう言ってますし、よ、よければぜひ!あ、何かご用事でもありますか?」
「…いえ。じゃあ、お言葉に甘えて。」
ふわりと笑う先生は、花のようだ。ああ、早く大人になりたいなあ。
三人で仲良くご飯を食べてる間、パパは顔を真っ赤にしてた。
先生と別れ、二人の帰り道。
「…なあ、洋介。先生、優しいなあ。好きな人、いるのかなあ。」
「知らない。」
「そ、そうか…。あんな素敵な人だもんな、つき合ってる人いそうだよな。」
急にしょぼんとするパパ。ヘタレ。
…今日、みんなでご飯を食べて気がついた。
先生も、きっとパパが好きだ。
だって、パパを見る先生の目、パパが先生を見る目と同じだった。
「…先生、つき合ってる人いるって言ってたよ」
俺は、うそをついた。
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