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「おま…それどうした?」
部屋に帰って、リビングでだぁりんからもらったネックレスをぼうっと眺めてたら秋次が声をかけてきた。
「だぁりんにもらった。御守りだって、うふふ。いいでしょ」
「まじかよ…あの人超本気じゃん…」
「ん?」
あの人って誰?
「いや、なんでもない。それよりな、俺らの敵対してるチーム『隼』あるだろ。あいつらが結構卑怯な奴ららしくて、総長が全隊員にしばらく夜出歩かないように、行動するときは常に五人以上で動くことだってよ。
この学園に俺らのチームの奴が多いの知ってて街で学園の制服見かけたら誰彼かまわず襲うらしいぜ。お前よくふらふらすんだからしばらく大人しくしてろよ」
へえー、そうなんだ。つか『隼』のやつらってひどいね。一般生徒は無関係っしょ。
「聞いてんのか!まじお前捕まるとか勘弁しろよ?俺死にたくねえからな!」
適当に聞いてたら秋次がめっちゃ必死になってた。なんなの、俺が足手まといみたいじゃん。
「くそっ!離せてめえら!離しやがれ!」
次の日、俺はどうしてもだぁりんにもらったネックレスのお礼がしたくて街に買い物に出た。秋次があまりに昨日必死になってたから、頼んで付いてきてもらったんだけどトイレに行ったら見知らぬ学校の奴らが4人くらいいて、俺を見るなり裏口から拉致しやがった。
めっちゃ抵抗したんだけどあっという間に縛り上げられて、今やつらのアジトの廃工場に転がされてる。ちくしょう、こんな下っ端やって何が楽しいんだ!
簡単に捕まった自分が情けなくて唇を噛み締めて奴らを睨みつけてやった。すると、一角が割れて誰か現れた。
長めの金髪に頬にキズ。『隼』の総長、高峰誠(たかみね まこと)だ。
高峰は俺に近づくと前髪を掴み顔を上げさせた。いてえなこの野郎!
「はっ、悪いな坊主。お前開正学園の奴だろ?あの学園には俺らと敵対してるチームの総長がいてな。やつを引きずり出す為に片っ端から開正の奴らにはちと痛い目にあってもらってるんだ。
ま、運が悪かったと思って諦めるんだな。」
こいつらが秋次の言ってた奴らか。総長ってうちの学園にいたのか、知らなかった。
「はっ、こんなセコい手使わなきゃチーム一つ相手にできないなんて情けないチームだな。」
「くくっ、口の減らないガキだ…ん?」
俺の挑発を鼻で笑った高峰は、ふいに俺の首もとに目をやった。
チャラ…
高峰が俺の首にあるネックレスを手にして目を見開く。
ばか、やめろ!だぁりんの愛が穢れる!
「…お前…」
「離せバカ!それに触んな!」
高峰は俺とネックレスを何度も見比べて、ニヤリと笑った。
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