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5

なんて、なんて言おう。原口に、何と思われただろうか。
いや、別にあいつに聞かれたからどうだっていうんだ。初めから俺様に惚れたらこっぴどく振ってやるつもりだったんだ。


『俺様がお前みたいな平凡に本気で興味を持つと思ってたのか?』


そう言って鼻で笑ってやればいい。



考えながら、伊集院は泣きそうな気持ちでいつものように飼育小屋に向かった。自分がなぜ泣きそうなのかもわからずに。



飼育小屋につくと、いつものように原口は1人黙々と掃除をしていた。
原口の姿を確認し、ばくばくと心臓が早くなる。震える体を叱咤して、原口の近くへと歩を進める。
小屋の戸を開けて出てきた原口が、戸を開けた状態で伊集院に気付いた。


「よ、よう」
「…どうも」


伊集院の挨拶に、ぶっきらぼうに返す原口。


…昨日とは違う。


完全な拒絶。そんな空気が原口を包んでいた。


「あの…」
「…あのさ、もうこここないでくれるかな。」


長い沈黙の後、口を開けた伊集院の言葉を遮り原口が言った。
伊集院は、ひゅっと息をのむ。


「うん、まああんたみたいな人がこんなとこに来る理由なんてあんなもんだよね。だから、もういいよ」

やはり、聞かれていた。伊集院の心臓はますます早くなる。息が、息がうまくできない。


「ま、少しの間だったけど、あんたのボランティアのおかげで楽しかったよ。
…ありがとうございました、生徒会長様」


にこりと笑い、ひどく他人行儀に言った原口に、伊集院は目の前が真っ白になった。


俺様と話せてよかったな。


まあせいぜいインコ相手に仲良くしてろ。


そう言って、鼻で笑って立ち去る。


「―――――え、えっ!?」


その、つもりだった。


「な、なに、どうしたんすか!?え?え?」



伊集院は、ぼろぼろと泣いていた。

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