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2

桜庭さんに一目惚れしたとはいえ、僕は男だし、容姿もものすごく平凡。

気が弱くて、優柔不断で言いたいこともはっきり言えない。
桜庭さん目当ての人は、男も女もみなとてもきれいな人ばかりで、自分に自信を持っている人ばかりだ。
桜庭さんは、ほぼ毎日お客様にメアドを渡されたり食事に誘われたりしてるらしい。
連れて行ってくれた友人が言っていた。
友人はこの店の常連だそうだ。



自分に自信のない僕が、そんな中に参戦できるはずもなく。
この人への思いは思い出にしよう、と決めて店を出ようとしたとき、桜庭さんに声を掛けられた。

「君の髪、僕の探してたカットモデルにぴったりの理想の髪なんだよね。イヤじゃなければ、1ヶ月に一回でいいからカットモデルにさせてくれないかな?」


思わぬ桜庭さんの申し出に、一も二もなく頷いた。
それから僕は、一年間毎月桜庭さん専属のカットモデルとしてお店に通ってる。
毎月一回だけど、僕にとってその日は宝物のような日。


平凡な僕が、シンデレラになれる日だった。


シンデレラのように、ハッピーエンドにはならないだろうけど。

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