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7

僕は公園で囲まれた怖いお兄さんたちに、無理やり廃工場に連れてこられて腕を後ろで縄でくくられた。
わけがわからなくてぼうっとしていると、囲まれていた一角が割れて誰かが僕に近づいてきた。


「よう、はじめましてだな、高原ヤマト。てめえの噂はうちの奴らから聞いてるぜ。何でも顔色一つ変えずに何人もぶっ倒す凄腕の奴がいるってな。」


しゃがみ込んで、僕の目の前で話をしだす。
うわ、この人もかっこいいなあ。赤い髪をつんつんに立たせて、目には青のコンタクトをいれてるのかな?切れ長の目がぎらぎらと野生みたいに光ってる。


「…赤い虎…」みたい。


「はっ、俺を知ってるなんざ光栄だな。その通りだ。俺は市原駿(いちはら しゅん)。『赤虎』の総長だ。てめえの噂を聞いてぜひ頼みたいことがあってな。俺のチームに入らないか?幹部の席を用意してやるぜ。」


…山下さんも初めて会ったときにそんな事言ってたっけ。総長って何なんだろう。お料理チームかなにかなのかな?幹部ってことは、上の方だよね。そんな、僕が人に教える立場になれってこと?


恐れ多くて、首をぶんぶんと横に振ると市原さんはニヤリと笑って僕の顎をつかんだ。


「くっくっ、この俺の誘いを断るなんざ大したもんだぜ。ますますてめえが欲しくなった。
うちの奴らに聞いたんだが『銀狼』の山下にもご執心されてるらしいな?俺にしとけよ。悪いようにはしねえぜ?」


山下さんと知り合いなんだ。ていうか、そんなに僕なんかの料理の腕がほしいんだろうか。確かに料理は好きだけど、そんなに大したことないのになあ。
ぼんやりと考えていると、工場の入り口あたりが何だか騒がしくなった。


「総長!山下が!ぐわあ!」


慌てて駆け込んできた人が、急に吹っ飛んだ。
その後ろから現れたのは、山下さんだった。


「市原ぁ。ずいぶん汚いマネしてんじゃねえか。高原を拉致して無理やりチームに入れようってか?」
「山下ぁ、てめえ一人でくるなんざ珍しいじゃねえか。高原には今優しくお願いしてたとこだぜ?まあこのまま断り続けるようならどうなってたかはわからねえがな」
「…高原に手ぇ出してみろ。ぶっ殺してやる。」


山下さんが市原さんを睨みつけると、市原さんは僕の顎から手を離し立ち上がって山下さんに向かい合った。


「ちょうどいい。てめえ一人で来たんなら、今ここでぶっ倒してやる。おい、お前ら!銀狼総長自ら敵地に乗り込んできたんだ!丁重におもてなししろ!」
「「「「「うおおおお!!」」」」」


市原さんのかけ声と同時に、工場内にいた怖いお兄さんたちが一斉に山下さんに襲いかかる。山下さんはニヤリと笑って、たった一人で全員を相手に戦い始めた。

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