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6

次の日曜日、僕はぼんやりと公園のベンチに座っていた。

山下さんと鞠ちゃんが、知り合いで。どちらもお互いを気にしてるような口振りで。それはつまり


「…二人、好き同士…なのかな」



考えればそうかと思う。そうだ。何考えてたんだろう、僕。
当たり前だけど、鞠ちゃんは女の子で。小さくて長い髪がくるくる巻いててとてもかわいい。幼なじみの僕から見てもすごく魅力的な女の子だと思う。
僕は男で。しかも、顔も厳つくて体もゴツくて。身長だって山下さんと同じくらいか僕の方が少し高い。
全部差し引いても、かなうはずないじゃないか。


「バカだな、僕…」


初めて好きになった人が男の人だなんて。
しかも、鞠ちゃんと両思いだなんて。


「…いいや」


うん。鞠ちゃんなら、いいや。鞠ちゃんは僕の大事な幼なじみ。優しくて強くて、自慢の幼なじみ。優しい山下さんなら、きっと大事にしてくれる。僕には、あの日の思い出だけあればいい。二人を祝福しよう。


さよなら、僕の初恋。


山下さんと二人で食べたケーキを思い出し、そっと目を閉じて芽生えた気持ちに蓋をすることを決めた。


さわさわと風に緑が揺れる音が気持ちいい。そういえば、ここに来るのも久しぶりだ。あのケーキを毎回くれた人は誰なんだろう。今日も来てくれないかな。そしたら僕は寝た振りだけして、現れた人にきちんと口でお礼を言いたい。
それで、お友達になれたらいいな。


「高原ヤマト、面貸せや。」


そんなことを考えながら目を閉じていると、いつの間にか僕は怖いお兄さんたちに囲まれていた。

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