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「えーっ、乙女ちゃん絡まれちゃったの?怖かったでしょう!」
「もう!だから私たちと行きましょうって行ったのに!遠慮なんかするから!」
「そうよ乙女ちゃん!今日は私たちと行きましょうね!」


ここは学校の料理部。始めにしゃべってたのが僕の幼なじみの鞠ちゃんで、料理部に僕を一緒に入部させてくれた人。僕は一般的に強面と言われる部類で、体もごついから遠慮してたんだけど、鞠ちゃんのおかげで入部できて、初めはびっくりしてた他の部員の人たちも今ではとても仲良くしてくれてる。
でも、何でか知らないけど僕のことを『乙女ちゃん』ってみんな呼ぶんだよね。それがちょっとだけ恥ずかしい。


みんな、僕が一人でなかなかかわいいお店に入れないから付き合ってくれるんだけど、僕ってどうしてか絡まれることがすごく多くって。
みんなを巻き込んじゃいけないから、昨日こっそり行ったんだけどバレちゃった。


「だ、大丈夫だよ。逆に向こうをそんなつもりないのにケガさせちゃって。そのままにしてきたからそれが申し訳なくて…」

あの人たち、大丈夫だったかなあ。ちょっと心配。

「何言ってんの!乙女ちゃんに乱暴しようとした向こうが悪いのよ!」
「そうよそうよ!そんな奴ら犬にでもかじられちゃえばいいのに!」


犬。そういえば…


「あ、あのね、僕、昨日すごくかっこいい人見たんだよ。銀の髪でね、目が金色の。」
「それって、銀狼の山下仁じゃない?」
「うん、そんな名前言ってた。すごく背も高くてね、さらさらの髪がすごくきれいで…」


もう一度、会いたいなあ。


「なんだかぽやんとしてるわ。」
「…危険ね」
「乙女ちゃん、絶対そいつにもう近付いちゃだめだからね!」
「う、うん…」


なんだかみんなが怖くて頷いちゃった。


「よう、高原ヤマト。」


クラブのあと、みんなに押し切られて昨日のお店に向かっていたら山下仁さんが現れた。
今日もかっこいいなあ。

「くくっ、なかなかお盛んだな?まさかてめえがそんなにモテるだなんてな。あっちが上手いのか?」
「そうよ!みんなヤマトが大好きなんだから!絡んでこないでよね、私たちこれからお楽しみなんだから!」

鞠ちゃんがそう言って僕の腕に絡みついてきた。うん、すごく楽しみ!どんなケーキがあるかなあ。

でも、さっきの話ってなんなんだろう。僕に言ったんだよね?お盛ん?もてる?あっちがうまい?
…お魚の話?


よくわからなくて首を傾げていると、山下さんが僕の鼻に鼻が当たるくらい近付いてきた。


うわ、な、なんだろ!これって、これって、もしかして、き、きすしちゃうの!?この人、男でもいいの!?
こ、こういうときって動いちゃだめだよね。目をつぶった方がいいのかな。


ドキドキしながら動かずにいると、山下さんがそのままニヤリと口角を上げた。


「…俺のガン付けにびびらないのはお前くらいだぜ。安心しな、今日はそれに免じて見逃してやるよ。」


そう言ってまた踵を返して去っていった。
…きす、じゃなかったんだ。僕なんて勘違いしたんだろう!恥ずかしい!


…でも、ガン付けってなんだろう?岩塩の仲間じゃないよね?


うんうん考えていると、鞠ちゃんたちに引っ張られてケーキ屋さんに連れて行かれた。


すっごくおいしいケーキ屋さんだったんだ!でも、お店の人気ナンバーワンのいちごのモンブランがなくてちょっとがっかりしちゃった。
今度はあるといいなあ。


…山下さんにも会えたし、僕はその日1日とても幸せな気分だった。

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