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それは本当に小さなイタズラで、纏が用意したネクタイをこっそり隠したり、ハンカチを汚れたものと替えたり。
纏の作った弁当を購買の弁当と交換していたり。晃は纏には言っていない。
纏はきっと自分がみんなに今まで余計なお世話をしすぎてしまい、みんなから愛想をつかされたのだと思っているのだろう。晃の胸に顔をうずめ、静かに一つ涙をこぼした。
「しゃーないやっちゃらなあ」
くすりと笑い、晃は、纏にバレないように一言呟きちらりと自分たちのいる中庭近くの校舎の影を見た。
食べ終えた後、晃は纏の肩を抱き中庭を後にする。二人の姿が消えた後、校舎の影でなにやらぼそぼそと揉めている声がした。
「ど、どうするんだ!纏、泣いてたんじゃないのか!?」
「そうだぜ!あんな纏初めて見たぞ!」
「…ちょっとやりすぎたでしょうか…」
「俺たちだって…」
「「纏ママと話せないなんてもうさみしいよ」」
「…でも、どうやって、話す?」
「そうだよ、今更なんて声かけるんだ?大体君が変な提案するから!」
「なんだよ!みんな乗ったから同罪だろ!」
「そうやなあ。誰が言い出しっぺでもやったらみんな一緒や。」
後ろから突然した声に、驚いてみな振り向く。
「こーら。この悪ガキどもが。」
「「「「「お、おとうさま!」」」」」
そこには、にこにこと笑いながら腰に手を当てる晃がいた。
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