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「開けていい…?」
「どうぞ!」
震える指でリボンを解くと、中から出てきたのは銀色に光る指輪だった。
「や、その…重すぎっかなーとか思ったんすけど…やっぱ俺、どうしてもあげたくて…
…連矢さんは、俺のものだって証が欲しかったんす。や、押しつけでほんと申し訳ないんすけど!」
ぽたり。
連矢は、指輪を見つめながら一粒の涙を落とした。
「うわ!れ、連矢さん!?やっぱ嫌っすか!?ごごごごめんなさい!」
あたふたと幹司があわて出す。
「…俺、こんなんだよ?顔だって平凡だし、性格だってひねくれてるし…」
ほんとは。いつも不安だった。幹司を、俺みたいな奴が縛り付けててもいいのかって。早く解放してやらなきゃって。
だから自分の気持ちは一切言わなかった。重荷にならないように。幹司が、いつでも俺を捨てられるように。
静かに泣き続ける連矢を、そっと幹司が抱き寄せる。
「いつも言ってるじゃないっすか。俺、連矢さんの気持ち、わかってるつもりっすから。連矢さんは、俺のために何も言わないんだよね。でも、それって逆効果。そんな健気な連矢さんに、俺もっと夢中になっちゃうんすから!」
「幹司…」
幹司の言葉は、まるで雪を溶かす春の日差しのように連矢の心も溶かしていく。
「はいはい、いちゃいちゃすんのは部屋に帰ってからにしてねー」
段々と近づいて後少しでお互いの唇が触れ合うかと言うその時。
伊藤がぱんぱんと手をたたき、甘い空気を遮断した。
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