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「幹司…、これだけは言っとく
―――――好きだから」
ありったけの文句をぶつけてやろうと思っていたのに。
連矢の口から出たのは、初めての幹司への告白だった。
「――――俺もです!連矢さん!!」
幹司は、連矢にがばりと抱きついた。
「…!?」
突然の出来事に連矢の頭は混乱していた。あれ?なんで?俺もって、なに?幹司は、ぎゅうぎゅうと連矢を抱きしめる。
ふと隣を見ると、伊藤がニヤニヤと笑いながらこちらを見ていた。
――――――謀りやがったな!
「ひどいっすよ、伊藤さん!伊藤さんが絶対大丈夫って言うからお願いしたのに、俺振られるとこだったじゃないすか!」
「なに言ってんの、結果大丈夫だったじゃん」
「…どういうことだ?」
連矢は、二人を睨みつけた。
「いやね、佐藤くんはお前が好きで好きでたまらんわけですよ。でも俺から見ると佐藤くんがかわいそうでかわいそうで。だって冷たい連矢くんは、佐藤くんの全力の愛をちぃとも言葉で返してあげないジャン?
お前等が一緒に帰らなくなった初日、お前がいないときに佐藤が来たのよ。しばらく一緒に帰れない理由を説明しにね。だから、俺に任せとけって、連矢には俺が言っとくからって佐藤を帰したんだよね」
「ちゃんと説明してくれると思ってお願いしたのに、まさか何も言ってないなんて…連矢さんが走って逃げた後、伊藤さんにそれ聞いたとき心臓止まるかと思いましたよ…」
…理由?
「バイトしてたんすよ、俺。ベタだけど、連矢さんにあげたいものあって…」
幹司は、制服のポケットからそっと小さな箱を取り出して俺の手に乗せた。
「誕生日、おめでとうございます。」
「…なんで知ってるの?」
「えへ、俺一目惚れしたっつったじゃないすか!連矢さんに振られまくってる間、伊藤さんに連矢さんの事色々聞いてたんすよ!」
「…ストーカーじゃん」
悪態をつきながら、箱を持つ手が震える。
「否定はできないっす!俺、連矢さんが好きで好きで、なんでもいいから知りたくって伊藤さんに土下座してお願いしてたんすから!」
にかっと、鼻をこすりながら笑顔を向ける。
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