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3

それからの連矢の行動は速かった。


『おしあわせに、さよなら』


と幹司にメールを送り、電話は着信拒否。家の電話も着信拒否し、居留守を使い。学校でも徹底して幹司を避け、みんなにも『別れた』と宣言した。


傷は浅い方がいい。今完璧に断ち切れば、簡単に忘れることができる。


連矢は、落ち込むこともせずいつもどうりに振る舞った。


「お前さ、こんなんでいいの?」


それから1ヶ月たったある昼休み。一緒に中庭で弁当を食べていた伊藤が話を振ってきた。

「なにが?」
「なにがじゃねえよ。あの日以来まともにしゃべってねえんだろ?あいつ、日に日にやつれてってんだぜ、知ってる?」

連矢は、伊藤の話に無言で箸を進める。

「あいつはいつもストレートにぶつかってくんのに。お前もらってばっかで、なんか返した?」
「…仕方ないだろ!」


伊藤の言葉に、我慢できずに連矢が叫んだ。


「あいつが、あいつが浮気したんじゃん!それって、俺じゃだめだったってことだろ?俺よりいい奴が見つかったってことだろ?だったら俺がすることは、してやれることは綺麗さっぱり別れてやることしかないじゃん!」


今までずっと我慢してきた思いが口から溢れ出す。


「あいつはすごくいい奴で、俺なんかのどこがっていつも思ってた。一緒にいても、いつもいつも釣り合ってないんじゃないかって不安で不安で!だから、あいつが万が一他に好きな奴ができたらちゃんと身を引こうって決めてたんだよ!」
「何も言わずに?」

伊藤の言葉に、ぐっとつまる。

「最後くらい、言いたいこといった方がいいんじゃね?なあ、佐藤?」



伊藤の言葉に驚いて振り向くと、いつの間にか後ろに幹司がいた。



「かん…」



幹司は、黙ってこちらを見ているままだ。
連矢は、ばくばくとうるさい心臓を抑えながら覚悟を決める。



最後に。最後に、文句だけ言ってやる。

人を散々振り回してその気にさせやがって。お遊びはおしまいだ。じゃあな。新しい子と楽しくやれよ。

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