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それから僕たちは、毎日公園に寄って暗くなるまで話をして帰るようになった。
本当にたわいもない会話だけど、とてもとても楽しくて。
…柳沢くんも、楽しんでくれてるのかな?
毎日話すようになってから、柳沢くんはますます優しくなっていった。勘違いしちゃいそうだ。柳沢くん、ほんの少しでも嘘じゃない気持ちは混ざってる?
「そういや毎日こんな遅くなって大丈夫か?引き留めてる俺が言うのもどうかと思うけど」
「うん、僕んち両親いないから。事故で二人とも死んじゃったんだけど駆け落ちして親戚とは絶縁してるから、僕一人なんだ。
お金だけは、相手の過失だったから先の心配がないくらい貰えたし両親も残してくれてたんだけどね。」
今まで、誰にも話したことがなかったけど。
柳沢くんは、僕の話を聞いて目を見開いた。
「僕の両親はね、ほんとに子供の僕が恥ずかしくなるくらい仲良くてお互い気持ちを隠さない人たちだった。
『本当の気持ちは隠しちゃだめ。大事だと思う言葉は惜しむことなく相手に伝えなさい』
二人とも、いつも笑顔でそう教えてくれた。その後、必ず二人で顔を見合わせて『大好き』って言い合うんだ。恥ずかしかったけど、僕はそんな両親を見るのが大好きだった。そんな二人を本当に素敵だなって思ってた。僕もいつか大好きな人ができたら、気持ちは隠さずに伝えようって。
…だから僕は、柳沢くんに、大好きって言うんだ。」
僕の話を聞いた後、柳沢くんは僕をぎゅっと抱きしめた。
「…1人で、よく頑張ってきたよな。えらいよ。
――――俺も、そんな山下が大好きだ。」
柳沢くんの言葉に、息が止まった。
「…もっと、知り合わないか?山下の家に行きたい」
僕は静かに頷いた。
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