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3

「…お前さ、恥ずかしくないの?」
「なにが?」


帰り道、柳沢くんがふいに聞いてきた。


「や…、みんなに言われて、…あんな…」
「…うん、恥ずかしくないよ。だって僕は柳沢くんが大好きだから。それは本当だから」


笑顔で答える僕を、何ともいえない顔で見つめる柳沢くん。
罰ゲームなんて乗っちゃうけど、彼は本当はとても優しいから騙していることに良心が痛むのかもしれない。


付き合いを始めてから柳沢くんは本当に優しい彼氏でいてくれているから。
ごめんね。でも、もう少し。もう少しだけ、幸せを味わわせて。


「じゃあ、僕こっちだから」
「あ、ああ…。や、山下!」


いつもの別れ道の公園に差し掛かったとき、柳沢くんが帰ろうとした僕を呼び止めた。


「あの…、少しだけ寄っていかないか?」

そう言って彼が指さしたのは公園。

「…うん」


僕たちは、二人でベンチに腰掛けた。

「どうしたの?急に」

今まで、下校してからは会ったりしたこともないしこうやって途中でどこかに寄るのも初めてだ。学校内では優しい彼氏をしていても、みんないないところでまで彼氏っぽくする必要はないから。

「いや、そういや山下とこうやってゆっくり話したことないなーって。付き合ってるのに、何も知らないとか…おかしいかなってさ」


頭をかきながら柳沢くんが気まずそうに言う。
罰ゲームなのに律儀に僕を知ろうとしてくれるなんて。


「…嬉しい…僕も柳沢くんのこと、もっと知りたい」


嬉しくて、顔を赤くしながら俯いてそう言う僕はさぞかし気持ち悪いだろうな。



俯いていたから、そう言った僕を柳沢くんがどんな顔で見ていたかなんてわからなかった。

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