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3

その夜、さらにいらいらすることに夜道を歩いていたらバカな奴らに絡まれた。
苛立ちをぶつけるかのごとくのしていく。


足りない。全然満たされない。
いつもそうだ。どれだけ人を殴っても、女をどれだけ抱いても俺は渇いたままだった。

どうやったら。何があれば満たされるのか。

俺は返り血を浴びて佇んでいた。


ふと視線を感じて振り返ると、こちらをじっと見ている奴がいた。


…良平だった。


マズい。見られた。
ご近所に言いふらされでもしたら。
良平は無言のまま立ち去ろうとした。


「待て」
「なに?」


咄嗟に引き止めた俺を見るその目は、いつものように無表情で。腹が立った。


「…何じゃねえよ。てめえこんなとこで何してやがった」
「あんたに関係ないと思うけど。散歩してただけ。
…口調も態度もいつもとだいぶ違うね。そっちが本性なんだ」
「だったら何だよ」


関係ないと言われ何だか腹が立って喧嘩腰になる。本性がバレたんなら構わない。いっそのこと思い切り殴ってやろうか。そんなことを考えた。



「…別に何もないけど。哲平の前では今までみたいに接してやってほしい」
「…は?」

言われたことに思わずまぬけな声がでた。

「哲平は…あんたを優しいお兄さんだと思って懐いてるから。優しいお兄さんを演じてやっててほしい」


眉間にしわを寄せ、俺に頼む良平。
なんだか、それが余計にむかむかして。


「さあ、どうするかな。…ああ、あいつはかわいいから、優しいお兄さんを演じて家に連れ込んで犯っちまってもいいな。」



そんな気は全くなかったけど、こいつを困らせたくなって言ってみた。



「哲平に手を出さないで」


良平は、俺をいつもの顔で見つめきっぱりとそう言った。


「…何だよ。そんなにあいつが大事かよ。
ああそうだ、条件を飲むなら、ただの近所の優しいお兄さんでいてやってもいいぜ。」



俺に、悪魔が囁いた。

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