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「#幼馴染」のBL小説を読む
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6

誰もいなくなった中庭で、呆然としているとチャイムの音が聞こえた。5時間目が始まってしまったなとぼんやりと思いながら頭の後ろで手を組んでまたゴロンとその場に転がる。

サボるのは久しぶりだなとうっすら思いながら目を閉じると浮かんでくるのは四天王寺の顔であったことに目を閉じながらもその眉間にしわが寄った。

『そんなにばれたくねえのか』

そう言われた時に、千里はうるさいからと答えたことに間違いはない。だが、四天王寺は別の意味でとらえたのだろう。四天王寺とはからずもセフレのような関係になった事が知られれば、間違いなく千里はうるさい。ただし、四天王寺が受け取った腐男子的なという意味ではない。自分から望んでその立場になったと言っても千里は黙っていないだろう。下手をするとまた自分を犠牲にして何とかしようとするかもしれない。

そう考えて眉間によった皺をなくす。

自分から、望んだ。

…そうだ。本当に知られたくないのは、自分が四天王寺に抱かれることを望んだということだ。その理由だけは、誰にも言えない。知られたくない。

四天王寺の顔を思い出しながら、その俺様な言葉や態度の数々を思い出す。思いだして、言いようのない焦燥感と焦りに駆られ頭の後ろにあった手を自分の体に回して抱き込む様に縮こまる。

思いだすのは、四天王寺ともう一人。二人を比べて、ひどく似ていると思い安心する自分と、違うところを必死に探す自分がいる。


「ちがう…、ちがう、四天王寺はあの人じゃない…。」


呪文のようにぶつぶつとそう繰り返しながら、震える体を必死に抑える。

「…京也様」

携帯を開けてログインし、画面に現れたニヒルな笑みを浮かべる京也に晴彦は無理やり自分の全ての意識を二次元へと向けた。

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