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秘密の関係

晴彦は部屋に戻るとめがねを外し、ソファに体を預けた。背もたれにだらりと頭を乗せて目を閉じ、眉間を押さえる。

しばらくしてからゆっくりと立ち上がると自分の寝室へ行き、ベッドに置いてある抱き枕を持ち上げた。

「…京也様」

その抱き枕は、晴彦がハマっているBLゲームの攻めの、京也と言うキャラの抱き枕で毎晩晴彦はそれを抱きしめながら寝る。
晴彦は腐男子ではあるが、千里のように色んなカップルを好むのではない。晴彦はこの京也と言うキャラ限定と言っても過言ではない。

『なんだ…疲れたのか?しょうがねえ子猫ちゃんだな。いいぜ、甘やかしてやるよ。』

脳内でゲームのセリフを再生し、抱き枕をぎゅっと抱きしめ顔を埋める。

と同時に、自身の携帯がピリリとメールの着信を告げた。



「よう。待ってたぜ」

扉を開けてにやついた笑みを浮かべながら、仕草だけは紳士のように体を半身にし反対の手で部屋の中へと促す四天王寺。晴彦は迷うことなく足を踏み入れ、靴をそろえて脱ぎリビングへと向かった。

主席ではないとはいえ四天王寺は会長ということもあり特権により与えられた部屋はそれは素晴らしいものだった。
ここに、夜な夜な学園の生徒を連れ込んでいるという事実さえなければ素直に部屋の素晴らしさに感嘆できるのに。

リビングに着くと、ふいに両肩に後ろから手が置かれ、耳に軽くキスをされてびくりと体が小さく跳ねた。

「敏感なんだな」

クスクスと笑いながら肩に置いた手をゆっくりと下げ、包み込むようにして抱きしめる。まるで甘い恋人にするような行動に晴彦は怪訝に眉を寄せた。

ヤりたいならさっさとヤればいいのに…

小さくため息をついたのを四天王寺が見逃さず、前を向いている晴彦の顎をつかみ後ろの自分の方へ顔を向けさせた。

無表情に自分を見つめる晴彦に若干のいらだちを覚える。

「…お前な、少しはドキドキするとかないのか?」
「ないな」

きっぱりはっきりと答えた晴彦にさも楽しそうに笑う。

「少しでもいいから俺に近づきたいってやつは腐るほどいるってのにな」
「じゃあそういう奴に頼めばいい。お前のくだらん自尊心を好きなだけ満たしてくれるだろうよ」

晴彦の言葉に楽しくて仕方がないとでも言うように声を挙げて笑う。そして軽く指で向けていたその顔をがしりとつかみ直し、動かないように固定した。


「生意気な子猫ちゃんは嫌いじゃねえぜ」


そういうなり、噛みつくように晴彦の口を塞いだ。

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