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そんなこんなで俺はぶらぶらと校庭を練り歩く。消灯の時間までこの学園って自由にしてていいんだよね。これがかわい子ちゃんだったりしたら一人でうろついてると襲われたり危ない目に合うんだけど俺みたいなモブに埋もれる平凡は目の肥えたここの方々には鼻の先っちょほども引っかけられやしないのだ!

晴彦に頼まれたコーラを振りながら自分のコーラをぐいぐい飲み、BLウォッチングのためにマイベストプレイスである学園の裏庭へと向かう。
おおっと!さっそく前方に萌え発見!かわい子ちゃんが顔を真っ赤にしながら告白してる!

「高見沢君、好きです!」


またお前かあああああ!!!
こっそり告白を覗き見しようとしてしゃがみんだそこに聞こえてきた名前に思わずがくりとうなだれる。

「悪いけど、付き合う気ないから」


またかお前えええええ!!!
聞こえてきた返事であろう言葉に俺はコーラを咥えていたペットボトルごとブフォ、と勢いよく噴き出してしまった。

「あ」

俺の噴いた擬音に気付いた二人がこっちを見る。まじい。

高見沢に告白していたかわい子ちゃんは真っ赤な顔をして涙を浮かべながら走り去っていった。すまぬ、かわい子ちゃんよ。
じゃあ俺も〜、なんて無言で背中を向けて立ち去ろうとするとむんずと首根っこを引っ掴まれて引き止められる。あらやだ、引き止める相手が違くてよ!

「…覗き見か、趣味の悪い野郎だな」

ですよねー!

「い、いや、覗こうと思ってきたわけじゃなくて!」

目を泳がせながら言い訳する俺に舌打ちをして掴んでいた手を離してくれた。ああ、死ぬかと思った。
乱れた襟元をただしていると高見沢が落としたコーラを拾ってくれた。優しいんだよな。

「ありがと」

素直に礼を言って受け取ろうとして高見沢の顔を見る。木々の隙間から差し込む夕日が当たって髪がオレンジに光ってる。長いまつげが少し影を落として、流れるような鼻筋と彫りの深い目元がくっきりと陰影を浮き上がらせて。
ほんとにきれいな顔してるよなあ、と思わずじっと見つめてると高見沢が怪訝な顔をした。

「…なに」
「い、いや。さっきの…」

問いかけられて、見惚れてましたーなんてバレたくなくて違う話をとっさにふる。いい機会だ、聞いてやれ。

「…なんで、いっつも振っちゃうのかな〜、もったいないな〜…なんて」
「好きでもねえ奴と付き合えるわけねえだろ」
「え、好きな奴いんの?」

高見沢の答えに目を見開いて食いつく。なんてこった!ノンケが外に想い人がいるならここの奴らになびくわけがねえ!

「そうじゃなくて。好きな奴はいねえけど、だからって何とも思ってない奴とは付き合えねえって話だよ」
「えぇ〜?そんなもったいない!付き合ってるうちに好きになるかもしんないじゃん!」

このモテイケメンめ!もったいないお化けが出るぞ!

「ってかさ、そんなん付き合ってみなきゃわかんないじゃん。お前が好きで頑張って告白した子たち可哀想じゃんそんな理由」
「…付き合ってみてやっぱりだめでしたって方がひでえじゃねえか。変に期待させるような事はしたくねえんだよ。それに

好きな奴には自分から言いたいし落としたい」

胸を張って言う高見沢にほ〜、と感心する。てかさ、それってすげえ自信だよね。やっぱりお前は理想の攻め要員だ!

…ん?あれ?

「…高見沢って、ノンケじゃねえの?俺、そう言う理由で断ってんのかと思ってたんだけど」
「いや、別に。つうか男だからって理由で断るのは違うだろ。ま、付き合う気がねえって理由で断るのもお前からしたらひどいかもしれねえけど性別で断るのはもっと失礼だろうが」


ぅおおおおお!!そうだったのかああああ!!!ってことはだ!これから先たかみんに好きな男が出来たら俺はそれで萌えを堪能できるってわけか!


「…だがな、俺は男とはできれば付き合いたくねえ。」


一人光明を見い出し心の中で狂喜乱舞していた俺はその後に続いた高見沢の言葉にぴたりと動きを止めた。なんですと?男は嫌ですと?

「なんで?」
「…あれだよ、あれ」

そう言って高見沢の指差した先には、裏庭のベンチに座っていちゃつくカップル。そして、その木の陰に佇む一人の男。


「…腐男子、っていうんだろ?男同士の恋愛を見て喜ぶやつら。俺はあいつらがいる限り男とは付き合いたくねえ」


俺は受け取ったコーラをまたぼとりと落とした。

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