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7

千里が、次の日から教室に戻ると宣言したと連絡を受けた高見沢は晴彦に最後の頼みごとをした。

自分の懺悔と、全ての思いをテープに込めて、朝に放送で流してもらうように頼んだのだ。朝一番に登校して、晴彦の机にテープを入れておく。そして、千里の机にメモ書きを入れた。

晴彦が放送室で自分の吹き込んだテープを流している間に、高見沢は一人校庭に出て校庭にがりがりと大きな文字を書く。


今頃学園の皆は、自分の音声を聞いているところだろう。誰一人顔を出さない校舎。その三階に位置する自分の教室。愛しい千里がそこにいる。


どうか、どうか受け取ってほしい。



しばらくして、静かに時を待つ高見沢いる校庭に向かって学園の生徒たちがこぞって窓から顔を出した。その一点に、高見沢はくぎ付けになる。




「安田――――――!」



大声で、愛しい人の名前を呼ぶ。



届け。



「今までごめん!これが、俺の気持ちだ!」

叫んで、その場に土下座する。



一生一度、最上級の想いを、お前に。




しばらくしてから、一つの教室から歓声が沸きあがる。どこからかなんて、顔を上げなくてもわかる。



「高見沢…!」



両手を、広げて。泣きながら駆けてくる、愛しい愛しい、求めてやまないただ一つの存在。
同じく両手を広げて、満面の笑みで受け止める。

今まで見たことのない、千里の涙。どれだけの思いをその胸に秘め、堪えてきたのだろう。
ぐしゃぐしゃのその顔が、かわいくて、愛しくて、頬を挟んで無理やり顔を上に向ける。泣き顔を見られたくないんだろう。必死に顔を俯かせようとする千里がかわいくてしかたがない。



「愛してる。」
「お、れも…っ、俺も、好きぃ…っ!」


高見沢の告白に、泣きながら初めて自分の気持ちをぶつけてくれた千里に胸がじんと熱くなる。

ようやく手に入れた大事な人を、高見沢は強く強く抱きしめ、そっと口づけた。

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