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5

高見沢は、晴彦に千里の好きなシチュエーションについて聞いてみた。

千里が事を計画したのは自分が腐男子であるからだと千里は言っていた。腐男子であることは、きっと本当なのだろうと高見沢は考えた。
そして、晴彦になら千里は自分の憧れる告白や謝罪の方法を事細かに聞き出せるだろうと思ったのだ。

普通に、自分の考える謝罪と告白をしても優しい千里は許してくれるかもしれない。だが高見沢は、あえて千里の望むシチュエーションでそれをしたいと思った。


千里が腐男子であろうと、愛してる。


そう伝えるために。




晴彦は翌日、千里から聞き出した話を高見沢に伝えた。その話を元に、晴彦と二人どのようにそれを実行するかを計画する。千里にしばらく特別室で授業を受けさせることにしたのも、千里が望むシチュエーションを演出するために二人で考えたことだ。
シチュエーションのためだけではなく、千里自身陰湿ないじめに合っていたからそれを鎮静化させるまで避難させておきたかったのもある。

高見沢は、千里のために毎日弁当を作った。朝、晴彦に渡して千里に渡してもらう。羽曳野が現れるまで、しょっちゅう口にしていた自分の料理を覚えてくれているだろう。千里なら、と妙な確信を持ちながら作る弁当は何だかむずがゆかった。

羽曳野にきちんと自分の気持ちを告げ、晴彦と話をしたと同時に高見沢は朝のホームルームの始まる前に教室で汚されたままになっている千里の机を綺麗に片付け始めた。その行動に、クラスの皆が驚く。

「た、高見沢、なにしてんの?」
「見てわかんない?安田の机を綺麗にしてるんだけど」

高見沢の答えに周りの皆がざわざわとざわめきだす。

「な、なんでお前が?だって、お前、あの最低なキモイホモオタクの被害者だろ?」
「だったら、俺もそうだな」

ゴミを袋に詰め、くるりとクラスの皆へ向き直ると教室にいるもの皆が困惑した顔をしていた。

「俺は、安田が好きだ。」

高見沢の急な告白にクラス中がしんとなる。顔を見合わせるもの、訳が分からないという顔をするもの。

「ちょ、ちょっと待てよ。高見沢は、羽曳野と付き合ってんじゃないのかよ…?」
「…羽曳野とは、付き合ってない。俺は、羽曳野を利用した。安田にヤキモチをやかせたかったんだ。羽曳野とずっと一緒にいれば、あいつがヤキモチを妬いて俺に告白してくれるかもなんて卑怯な事を考えてた。」

辛そうに眉間にしわを寄せながら、高見沢が自分の罪を告白する。それを聞いたクラスの皆は信じられないとばかりにざわめきだした。

「だから、責められるのはあいつじゃない。俺も、いや、俺の方がキモイホモ野郎だ。気付くのが遅くて…安田がいじめに合ってるのも自分のせいなのに今までなんもしなかった俺の方がひどい奴なんだ。だから、皆、頼むよ。やるなら、俺にしてくれ。安田には、もうなにもしないでくれ。頼む。」


クラスの皆に向かって頭を下げる高見沢のその姿に、皆決まりが悪そうに顔を逸らした。頭を上げた高見沢は、それ以上はなにも言わず黙々と千里の机を片付けた。

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