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3

晴彦の教室を覗くと、ちょうど高見沢が羽曳野の席に行くところだった。周りにはちらほら生徒が残っていて、迎えに来た高見沢をからかったりして羽曳野が恥ずかしそうに顔を染めている。二人仲良く教室の出口に向かって歩いて来る途中。俺はようやく目的の人物を見つけた。

晴彦。

幾人かのクラスメイトと共に立って談笑してたらしい。上手く人の影に隠されていて見つけられなかった。だが、見つけたその瞬間、俺は晴彦の顔を見て真っ青になった。

やばい。あの顔マジで晴彦がキレてる時の顔だ。

その顔は数回しか見たことがないけれど、その顔をした晴彦は絶対に何かやらかすってことだけはわかる。晴彦が以前この顔をした時はクラスのバカの一人が晴彦の大事な京也様のプロマイドを面白がってからかって黒板に貼り付けたときだった。
あの時、晴彦はその場ではなにも言わなかった。だけど、次の日。

晴彦はそいつの隠れ趣味を暴き、こともあろうか学校中の掲示板に張り出したのだ。

晴彦は別に自分の趣味や京也様を好きな事を隠していたわけじゃないからそれはいいんだと。だが、人の大事にしている物をからかう道具にしたそいつが許せないと言った。
だからって、人が知られたくないような事を全校生徒に暴露するか?

晴彦はそういうところに容赦がない。人に何かをするなら自分もし返される恐れがあると言うリスクを背負えと言い張る。

あの時と同じなら。

止めないと、と思うよりも先に、晴彦が動いてしまった。


「おっと、悪い」

晴彦は、わざとだろうが絶対にそう気付かれないようなしぐさで羽曳野にぶつかりその手のカバンを落とさせた。そして、最悪の事態は訪れる。

何と羽曳野が落とした鞄を、いかにもちょうど当たってしまったとでもいうように晴彦が蹴った。その衝撃で、カバンのふたが開きバサバサとカバンの中身が床に広がる。そして、晴彦は謝ってその荷物を拾うふりをして、




「ほんとごめんな。ん?これなに?『高見沢君攻略日記』?」


羽曳野の、つけている日記をわざと中身が見えるように端をつまんで拾い上げた。

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