7
しばらく重ねられたそれを、ゆっくりと離し両手で頬を掴み、忍がこつん、と額を合わせる。
突然の出来事に困惑のあまりなされるがままの俺はきょときょとと目を泳がせた。
「…しの…」
「…ごめんな、崇」
突如呼ばれた名前に、さまよわせていた目を忍に向ける。近すぎてぼやけるその顔が、困ったように微笑んでいる。
「泣かせたくないって、笑っててほしいって言ったくせに…、泣かせてごめん。悲しませてごめん。」
「…!」
どくん、と心臓が大きく跳ねる。
もしかして、と思うが怖くて言葉にすることができない。震える手で、自分の頬を掴む忍の手にそっと触れるとぎゅっと握られた。
「手放そうとして、ごめんな。もう二度と、離さないから。…俺の、青い鳥。」
それは夜のはずなのに、ぱちん、と何かがはじけて眩しい光が自分に降り注ぐような。
「し、の…」
「お前が好きだ、崇。お前は?」
それは、想いが通じ合って初めてしてくれた告白と同じ。言い方は違うけれど、あの日の様に同じ鳥小屋で。あの時と、同じ笑顔で。
「好き…っ!忍、好きだ…っ!うわあああああ!」
ただいま、崇。
抱き着いて泣きじゃくる俺を強く抱きしめて、耳元で囁かれたその言葉に、俺は何度も何度も頷いて、泣くしかできなかった。
[ 7/50 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top