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300万ヒット記念企画、アンケート第一位 原口忍
が記憶喪失になるお話です。


お楽しみいただければ幸いです。頑張ります!
ではどうぞ♪


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「崇、危ないっ!」

忍が叫んだと同時に、前に思い切り押された体。その急な勢いによろけて地面に倒れ込んで、何事かと後ろを振り向いてその場面に何が起こっているのか一瞬理解できなかった。


手をつないで二人で並んで歩く。優しく微笑みながら手をつないでくれている忍に、俺もつられて笑顔になる。忍の笑顔は、いつだって俺にだけ向けられて、その笑顔が消えてしまう日なんて絶対に来ることがないと思っていた。


白いカーテンに囲まれた病院のベッドに目を閉じたまま横たわる忍の手をぎゅっと握りしめる。

それは突然の出来事だった。

その日、俺と忍はいつものように鳥小屋に向かっていた。俺と忍は学校公認の仲だ。俺は生徒会長で、この学校で絶大な人気を誇っていて付き合うことになった時は相手が平凡な忍であったことからやっかんで忍に嫌がらせをするやつもいたが、俺の忍にべた惚れな態度を見て俺の親衛隊が俺たちを率先して応援してくれるようになってからはそんな奴らはほとんどいなくなっていた。
俺だって、努力した。

それでも、完全に忍に対するそれがなくなるわけではなくて、やはりたまに忍に対して嫌がらせをするやつらもいる。
今日も、俺と一緒にいる忍に対して遊びを装ってわざとバスケのボールをこちらに投げてきたやつらがいた。だが、たまたま手元が狂ったんだろう。思い切り投げられたそのボールは、忍ではなく俺に向かってまっすぐ飛んできた。

俺は運動神経だっていい。だから、いつもならそれくらい簡単に避けられたはずなんだ。だが、運が悪かった。たまたま、後ろを向いていたがために反応が遅れた。気が付いたのは、忍に押されてから。忍は、俺を押してボールを受け止めようとしたんだろう。だけど、バスケのボールってのは意外に重い。それこそ、投げられた力にもよるがよほど強い力のあるやつが投げたのか受け止めはしたものの、その勢いに忍はバランスを崩してしまった。

そして、運悪く倒れ込んだ先が、たまたま花壇で。

そのレンガの角で、頭を強く打ってしまった。


振り向いた先で血を流して倒れ込む忍を見た時には一瞬何が起こっているのかわからなかった。次の瞬間には、俺は泣き叫んでいて。忍にすがって揺り起こそうとする俺を親衛隊長たちが『頭を打っているから触っちゃダメです!』と必死になって止めていた。


そのうち、誰かが呼んだのだろう救急車が校内にやってきて忍と俺を病院へと運んで行った。運ばれている間、検査をしている間、治療をしている間、俺はずっとずっと手を組んで神に祈っていた。


神様、どうかお願いです。忍が無事でありますように。忍が無事なら、何も望まないから。


俺の願いを聞き入れてくれたのか、忍の頭のけがは大したことがなかったらしく検査の結果も問題がなかった。あとは、忍が目を覚ますのを待つだけ。



だけど、神様は俺の願いをかなえてくれると同時に絶望も与えることに決めたらしい。



「…あんた、だれ…?」


目を覚ました忍が手を握る俺に対して放った第一声は、それだった。

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