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3

ゴンゴン、ゴンゴン!
手が塞がっているので、足で扉をノックする。


「誰だよー!ノックにしては乱暴だめよ!
って、会長!?なに捕獲してんの!?」

俺が向かっていたのは、生徒会室だ。
扉を開けた上村が、俺を見て驚く。
小暮は、真っ赤になって顔を俺の肩に埋めている。


「仮眠室を借りるぞ!早く扉を開けろ!」


ずかずかと中に入り、上村に仮眠室の扉を開けさせる。
途中、山本と草壁も目を見開いて驚いていた。


仮眠室に入ると、ベッドに小暮を降ろしてやる。小暮は、きゅっと縮こまり、膝を抱いた。俺も、小暮の前に座り込む。


小暮の目が、きょろきょろと左右に動く。
動揺しているのだろう。


「…小暮」


俺が呼ぶと、びくりと体を竦ませた。



おどおどとこちらを見る。顎を引いているため、上目遣いになる。
これは、かわいい仕草なんかじゃない。そう、睨まれているようにしか見えない。



………だが、愛おしい。


この感情がなんなのかわからずにずいぶん遠回りをしてしまった。気付いてからは、小暮は手に入らないのだと苦しかった。
小暮には、思い人がいるから。


今もまだ苦しい。



「…西条が好きか」



あんな扱いをされても、好きか?



「無理やり西条からお前を引き離して悪いとは思う」



でも、西条の話を聞いていて確信したことがある。



「でも、我慢できなかった。」



お前は、俺との密会がバレて、俺に悪い噂がたたないように自分を犠牲にした。



「お前が西条のものになるなんて、耐えられなかった」



あの時お前は、『この場所は嫌だ』と懇願した。それはなぜか?



「気が狂うかと思った…!」



あの場所が、俺との練習をしてふたりきりでいた場所だからだ。



「小暮」



少しは、俺の事を気にしてくれていたんじゃないのか?



「…俺はお前が好きだ」



―――そうだと、うぬぼれさせてくれ。

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