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強面バンビを奪還せよ

廊下で二人に会ってから、俺はいろんな意味で最悪だ。



生徒会の仕事はミスばかり、授業も出ては時間割を間違える。体育も走ればコケ、飛べば落ち。小テストが今までで最低の20点だった時には担任に保健室に連れて行かれた。

何よりもショックを受けたのは、


「…綾小路さま、だめですか?」


勃たなくなったのだ。


あの日以来、何をしても俺のムスコはうんともすんとも言わなくなった。今日もかわいいチワワちゃんのお誘いを受け、チワワちゃんがあの手この手を使ってご奉仕してくれたのだが、全く反応しなかった。

「すまない…」
「あ、綾小路さまのせいじゃありません!ぼくが、ぼくが巧くできないから…」
「いや、君のせいじゃないよ。多分疲れてるんだ、ほんとにすまない。また疲れが取れたとき、お相手お願いしてもいいかな?」

うりゅりゅと泣き出すチワワちゃんを、必死になだめる。
チワワちゃんを帰した後、シャワーを浴びながら小暮と西条を思い出す。


西条は、小暮を『意外とかわいい』と言った。
…小暮は、あの笑顔を西条に見せたのだろうか。


あの笑顔が見れるのは、練習相手に指名された俺だけの特権だった。
それ以外に見ることができるやつがいるとすれば、



―――そいつは、小暮の思い人だ。



そこまで考えて、背中に冷や水をかけられたように感じた。



「小暮の思い人は、風紀委員長だったのか。」


行き着いた答えに、めまいを感じた。

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