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そうだな、こいつらにこのわからない感情を聞いてみるのもいいかもしれない。
「あのな、ある特定の奴の顔を思い出すといらいらするんだが、どういうことなのかわかるか?」
…ん?言葉が足りない気がするがまあいいか。
「顔を思い出すといらいらするって…」
「え、と、会長、それはその人が何かしたんですか?」
「笑いかけられた」
うん、間違ってない。だが、山本と草壁がぽかんと口を開けている。
なんだ?俺、なんか変なこと言ったか?
「ぶはは!会長、笑いかけられただけでいらいらするって、そいつのことどんだけ嫌いなの!ひっでー!」
腹を抱えてげらげらと笑う上村。
嫌い?俺は、小暮が嫌いなのか?
「そうなのか?」
「いやいや、あんたがそんな感じで言ったんでしょうが。
確かに、今の言い方だとその相手が不愉快だと捉えられますが」
「えと、僕もそう思います、すみません。」
嫌い…
何だかちょっと違うような気がするんだが、そうなんだろうか。
確かに、例えば小暮がチワワちゃんたちと話してる姿とか考えるといらいらが増してくる。
「わーかった、風紀委員長っしょ?会長、ことあるごとに絡まれてよく言い合いしてるもんねー!」
上村に言われ、眉間にしわが寄る。
確かにあいつは嫌いだ。えらそうにいつもふんぞり返りやがって。俺に勝てないくせに。
「俺がなんだって?」
生徒会室の扉が開いて、風紀委員長が現れた。
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