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6

劇的な告白は、紫音の周りすべてを変えていった。

梨音の退院まではまだ近寄ることをしなかったクラスメートが、登校してきた梨音を囲むと同時におずおずと紫音にも話しかける。

「し、紫音くん。あの、ほんとは、泣き虫さんなんだね。」
「それに、すごくかわいいお話の仕方するんだね。」

まだ少しどこか怯えたように顔色を伺いながら、それでも思ったことを口にする。

「う、うん。今まで、だましててごめんね。ほんとは俺、こんななの。き、気持ち悪いよね。見た目こんななのに、りーちゃんみたいなお話の仕方するなんて…」

しゅん、と眉を下げてポツポツと話す紫音に、皆揃って頭を振る。

「き、気持ち悪くなんかないよ!」
「そうだよ、僕たちこそごめんね。ほんとはずっとお話したかったんだけど、ちょっと怖くて…」
「で、でも、あの紫音君見て、すごくかわいいねって、皆でお話してみたいねって話してたんだよ。」

梨音の友達であるチワワたちが、次々と紫音に話しかける。皆、『ごめんね』と口々に謝罪を口にしてそれからそっと手を伸ばしてきた。差し出された手と、クラスメートを紫音が目を見開いて見る。

自分を囲んでいる人たちが、自分に向けて優しく微笑んでいる。
ふと梨音を見ると、梨音は微笑みながらゆっくりと頷いた。

「僕たちと、お友達になってくれる?」
「あ…、う、うん!」

慌ててごしごしと自分の制服で汚れでも落とすかのように手をこすり、震える手をおずおずと差し出す。目の前の手を軽く握ると、いくつもの手が紫音の手に重ねられた。

「これからよろしくね。」
「いっぱいお話しようね。」
「仲良くしようね。」

次々と自分に向かってかけられる言葉は、今まで紫音がずっとずっと欲しかった言葉で。
紫音は何度も何度も頷きながら、ポロポロと涙をこぼした。

「だぁー!もう我慢できねえ!俺も!」
「おい、木村!これからは俺たちとも話そうぜ!」

梨音の友人だけではない。クラスメート皆が、わいわいと騒ぎながら紫音と梨音を囲む。
驚きの余りに落ちそうなほど目を大きくしている紫音の肩をたたき、背中をたたき。
そこにあるのは、嫌悪やおそれではなく。

見渡す限りの、笑顔。

「あ、ありが、と…ふえぇ…ん」

途端に、わあわあと大声で泣き出した紫音をクラスメートが必死になだめた。

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