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※注意!…今回の章は、読まなくてもあまり影響はありません。タイトル通り、晴海と紫音の初夜…?になります。二人の甘々えちをご覧になられたい方はどうぞお進みください。苦手な方はご注意ください!
時間軸は屋上の後、克也と話をしたその後です。紫音、子猫ちゃん全開です。基本晴海視点で進みます。

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校庭での紫音ちゃんからの劇的な告白、そして屋上での一件から引き揚げてきた俺たちは今学校の寮に向かっている。克也と話しをした後、『ずっと泣きながら走ってきたから疲れちゃった』という紫音ちゃんを休ませるために部屋まで送ろうと歩いていた。

俺が差し出すよりも早く、そっと俺の手を取り繋いできた紫音ちゃん。どんだけかわいこちゃんなんだろう。

紫音ちゃんは一年棟だから、俺の部屋のある二年棟とは真逆の方向だ。ほんとはまだ帰したくない。やっと想いの通じ合ったこの子と二人、今までの溝を埋めて余りあるくらいにベッタベタに甘やかしてやりたい。だけど、紫音ちゃんに無理はさせたくないから何も言わずに部屋に送ろうと、一年棟の方へ歩こうとした。


…ん、だけど…。

「紫音ちゃん、どうかした?歩くの疲れちゃった?抱っこしてあげようか」

一年棟の方へ向かおうと足を向けたら、紫音ちゃんが突然ピタリと歩みを止めてしまったのだ。泣きすぎて疲れちゃったかな。心配になって覗き込むと、紫音ちゃんはうるうるとその切れ長の目に涙をためていた。

「先輩…、俺、お部屋帰りたくない…。」

…お持ち帰りの許可が出ましたがよろしいでしょうか。

「…りーちゃんが入院しちゃってから、ずっとずっと一人ぼっちなの。誰もいないお部屋になんて帰りたくない。さみしい。先輩…、俺、一人でおねんねするのやだ…。」


くらり、と軽いめまいを起こし、倒れそうになるのをなんとかこらえる。

「…お、俺の部屋、に、来る…?」

緊張と興奮のあまり途切れ途切れになる声で尋ねると、紫音ちゃんは素直にこくりと頷いた。

「じ、じゃあぁ、行こうかあ〜」

頷いた紫音ちゃんを見た瞬間、俺は花畑の中にいた。軽く魂が飛んだらしい。寂しいから離れたくないと素直に口にするこの子はもはや小悪魔のレベルではない。しかも、それだけではない。

「先輩」
「ん?」
「…だっこ」

両手を広げておねだりされた俺は花畑と目の前に流れる川をみた。


「せんぱい、俺重くない?」
「羽のように軽いよ」


ああそうさ、重さなんて全く感じないさ!
先ほど屋上に連れて行ったときのお姫様だっこをお気に召したらしく、抱き上げると嬉しそうにはにかんで俺の首に腕を回してきた。歩く度にふわりと頬をくすぐる紫音ちゃんの髪に、耳元にかかる吐息にドーパミンでも大量生産されてんじゃないだろうか。重みなんて全く感じない。

部屋について、そっと俺のベッドに下ろす。その瞬間に、上目遣いでじっと見つめられ理性が飛びそうになるが、残る理性を総動員してにこりと微笑みながら紫音ちゃんをそっとベッドに横たえる。

「…ご飯の時間になったら起こしてあげるから、ちょっと眠りな。のどは渇いてない?なんか取ってこようか?」

掛け布団をかけて、優しく髪をとくと紫音ちゃんが髪をなでる俺の手をそっとつかんだ。


「…せんぱい、いっしょに寝てくれないの…?」


その場で押し倒さなかった俺を誉めてほしい。

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