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お友達

二見は唖然としていた。なんだ。一体なんだってんだ。


晴海と克也がいつものようにバーにふらりと現れたのが、二人ともソファに座るなりなにやらずっと思い返すかのようにぼんやりとしていた。
晴海は時折自分の手をじっと見たかと思うとぐーぱーを繰り返し、ちょっとにやけては頬をたたいて慌てて首を振る。
克也に至っては口を開けて空を仰いだかと思うと盛大なため息をついて頭をかく。

そんなことをかれこれもう一時間ほど繰り返しているのだ。

「おまえ等、なんかあったのか?」

見かねてジュースを運びながら二見が二人に声をかけた。二人はまさに今気付きましたと言わんばかりに驚いて顔をあげた。

「ふ、二見さん!いつからいたんすか」
「いや…、ずっといたけど。何、そんなことも気付かないくらい悩んでんのか?何があった?」
「いえ…、あの…」

かわいい後輩のいつもと違う様子に、二見も自然オーラが黒くなる。
まさか、チームの事でなにかあったのでは。
そんな二見の雰囲気に気付いた二人が慌てて首を振った。

「ち、違えよ、二見さん。街で揉め事があって困ってるとかじゃないから!」

慌てて弁明しようとする晴海にほっとしたように二見の雰囲気が柔らかくなる。

「ならいいがな。あまりにいつもと違うからおまえ等だけじゃ対処できねえことでも起こったのかと思ったじゃねえか」



まあ、ある意味対処できないんですけど。



声に出さずして二人の心の中は一致した。
克也が、膝にひじをつきその前でくんだ手の指をくるくると回しだした。

「…あのですね、二見さん。『犯される』って、相手に恐怖を与えずに説明できますかね?」
「はあ!?」


何を突然、と思わずまぬけな返事しかできなかった。克也はふざけているようではないらしい。


「いや、無理だろ」
「だよなぁ…」


二見の答えに克也は頭を抱えてうなだれてしまった。二見はそんな克也を不思議そうに見つめる。何やらぶつぶつと「無理だ…、でもなあ…」などと独り言を言う克也にこれ以上は聞けないかと腕を組んで息を吐いた。

「んで、お前は?」
「へっ?お、オレ?」

突然話をふられ、晴海が素っ頓狂な声を出した。

「や、何もないよ。だいじょぶだいじょぶ〜。あ、俺今日はもう帰るね。」


にへらと笑い立ち上がる晴海に、自分もと克也が次いで立ち上がる。

「おい」
「ごめんね、二見さん。またねー」

ひらひらと手を振り店から出て行く晴海を見送り、二見はふむ、と考えた。

晴海は街でのトラブルは必ず解決策と共に笑いながら報告してくる。掴み所のない性格をしているが、そういうことで二見に隠し事をすることはない。
そんな晴海が言わないとなると、


「まさかな」


二見は肩をすくめるとテーブルを片付けカウンターに戻った。

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