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7

あれは放課後だった。しかも克也は二年生。あのトイレは一年生の教室近くにあり、普段恐らく二年生は使用しないだろう。あの時、克也は『待ってたぜ』と言った。つまり、待ち伏せしていたのだ。

梨音はそれが不思議で仕方がなかった。

自分が来るのを、一日ずっと待ってたんだろうか。そう想像するとちょっとおかしい。

「あー…、いや、あれは…。」



梨音の教室にはチームの下っ端が一人いる。晴海が紫音を呼び出したときに梨音の事をガードさせた田中。
克也は梨音を自分の物にしようと決めた時から、その動向の一部始終を実はことあるごとに田中に報告させていた。

田中にとってはいい迷惑である。

あの日、無理やり梨音を手に入れるために克也は田中に梨音が放課後にトイレに行くことがあるならすぐに知らせろと指示していた。教室を出る直前に梨音がトイレに行きたいと紫音に話しているのを耳にした田中が、速攻で克也に知らせた。放課後、いつでもトイレに行けるように一年の教室近くで待機していた克也は連絡を受け猛ダッシュでトイレに入り、梨音の来るのを待っていたのだ。


無理やりどうこうしようとした、という所だけは伏せて正直に事のあらましを話すと、梨音はくすくすと笑いだした。

「うふふ、先輩、おもしろいの。そんなに僕とお友達になりたかったんだあ。」


…こいつ、自分が何をされたかわかってないんだろうか…。


無理やりキスをしたというのに、自分の行動をお友達になりたかったからと解釈しくすくすと笑う梨音に若干心配になる。いや、悪いのは自分なんだけども。


まじで危ねえ。こんな天然、紫音のガードがなければあっという間に色んな奴に玩具にされていただろう。


…これからは、俺が守る。


目の前でくすくすと笑う梨音を、そっと抱きしめる。

「…お友達に、なってくれるか?」

ゆっくり。ゆっくりでいい。焦らず、じっくり攻めて行こう。まずは、お友達から。


「はい、ぼくたち、お友達です!」

克也の言葉に梨音は満面の笑みでこくこくと頷いた。その笑顔に、克也も微笑み腕の中にいる梨音の頭を優しく撫でた。
その手が、あまりに気持ち良くて梨音はふにゃりと笑顔で目をつぶりもっと撫でてとでもいうように頭を克也へと傾ける。


…なるべく早く、お友達からステップアップしないと俺が持たねえ。お友達から昇格したときには、覚悟しろよ?



大人しく撫でられる梨音に、克也は暴れん棒になりそうな自分の息子を根性で抑え込んだ。



「先輩、も一つ聞いてもいい?」
「なんだ?」

そんな邪な思いに思考を馳せていると、梨音が克也に問いかけてきた。

「『犯される』って、なに?」


――――――それを俺に聞くのか!?



まさかの梨音の質問に、ぴきんと固まってしまったのはいうまでもない。


end

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