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2

梨音も紫音の話を聞きながら、克也のことを思い出していた。


ライオンのようにギラギラとした鋭くありながら、その奥に欲望ではない何かを秘めた目を思い出すと胸の奥がざわざわと苦しくなる。



…ぼくと、仲良くしたいって、言ってくれてるんだ…



「…いい、よ。」

梨音は小さな声でぽつりとつぶやき、こくりと頷いた。

「りーちゃん?いいの?」
「うん。だって、ごめんなさいしたいって言ってくれてるんでしょ?そう言ってくれてる人に、だめって言えないよね。お父さんとお母さんも、ごめんなさいしたら仲直りしなさいっていつも言ってるもんね。」

にこりと微笑みながら承諾してくれた梨音に紫音はほっとした。

「ありがと、りーちゃん」
「ううん。先輩と、お友達になれるかなあ?しーちゃんも晴海先輩とお友達になれるといいね。」


先輩と、お友達。



なれるかな。仲良くなったら、一緒ににゃんこちゃんと遊んでくれるかなあ?


…なれるかな。仲良くなって、あの大きなお手手でよしよししてくれないかなあ。



お互いに、克也と晴海をそれぞれ思い出して下を向く。
ふと同時に顔を上げ、お互いを見た。


「…りーちゃん、顔赤いよ?どしたの?」
「あ、赤くないもん!し、しーちゃんこそ赤いよ、どしたの?」
「えっ?うそ!」
「うそじゃないよ!大丈夫?お熱あるんじゃないの、しんどくない?」
「り、りーちゃんこそお熱ないの?」


二人してはらはらとお互いが病気なのではないかと心配し、互いにこつんとおでこを合わせる。



「…お熱、ないねぇ?」


二人で首を傾げながら、とりあえず暖かくしようかとお揃いのねこの着ぐるみを引っ張り出して着替えて寝ることにした。

「あ、お父さんとお母さんにこの格好のお写真送らないと。」

この着ぐるみは母が仲良しの二人のために作ってくれたものである。入学前に手渡してくれて、初袖通しだ。着たときは必ず二人の写メを送るように言われていたのを思い出して、二人はいそいそと携帯を持ち、交互に一人ずつ写メを撮る。
最後に仲良く並んで顔の横で猫の手を真似て写メを撮って母に送信した。


「明日はうさぎさんにしようね」


そのあと、猫のまねをしてきゃっきゃと笑いながら二人でしばらくじゃれ合ってからベッドに入る頃にはすっかり夜がふけていた。

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