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4

寮の部屋に戻り、二人でソファに腰掛ける。

「…怖かったね…」

ぽつり、と呟いた梨音に、紫音がこくりと頷いた。

「…怖かったね。怖かったね、りーちゃん!ふりょうだよぅ!不良がいっぱいだったよう!わああぁん!」
「う、うええーん!」

向かい合い、紫音と梨音はひしと抱き合ってわあわあと泣きじゃくった。


紫音と梨音は双子である。見た目の厳つさに皆勘違いをするのだが、実は紫音は梨音と同じくとても怖がりで泣き虫なビビりだった。

かわいいもの大好き。甘いもの大好き。好物はイチゴ大福。ぬいぐるみを集めるのが趣味。
梨音と違うのは、梨音の好物はみたらし団子で、集めるぬいぐるみが紫音はねこ、梨音はうさぎ。


全く違う見た目ながら、その実中身は同じなのだ。



「ごめんね、ごめんねしーちゃん。僕のせいでいつも怖い思いさせて。」
「ううん、大丈夫だよ。りーちゃんを守るためだもん。俺、全然怖くないよ!」

涙を流しながらガッツポーズをする紫音に、梨音はよしよしと頭をなでた。

「しーちゃん、ごめんね。ありがとうね。今日は僕がしーちゃんの好きなハンバーグ作るからね。」
「わあ、りーちゃんのハンバーグ大好き!じゃあ俺はお風呂用意してくるね!ついでにお洗濯も干しちゃうね」

ぐい、と涙を拭いてお互いの役割のために立ち上がる。

「ふん♪ふん♪ふふん♪」

紫音は先ほどの恐怖はどこへやら、梨音のハンバーグで頭をいっぱいにしてご機嫌な鼻歌を歌いながら風呂を掃除した。



紫音が、なぜその性格を隠しているのか。それは小学生の頃に遡る。

幼い頃から、背の大きさはそれほど変わらなかったものの紫音はきつめのやんちゃな顔立ちをしていた。梨音は昔からそれはそれは愛らしく、どこにいっても女の子と間違われていた。

二人は、違う理由でよくいじめられていた。

『オカマー、男女ー』
『梨音くんににてなーい』

梨音は、男の子から。紫音は、女の子から。
毎日毎日、いじめられては二人で泣いていた。

ある日、公園に二人で遊びに行った時のこと。

「お水くんでくるね」

そう言った梨音が、なかなか戻ってこない。心配になった紫音は、水場に梨音を探しにいった。
だが、水場に梨音の姿はなかった。
梨音は、紫音に何も言わずにどこかに行くことは絶対にない。紫音は慌てて、辺りをキョロキョロと探し回った。

「ふぇえん、やだぁ、やだよぉ…」

死角になった茂みの向こうから、小さな泣き声が聞こえた。紫音はばくばくと高鳴る心臓を押さえながら、そっと茂みに近づく。

「ほら、恥ずかしくないよ、お兄ちゃんと一緒だよ。ね、見せて。ぼくのおちんちん、お兄ちゃんに見せて。」

梨音は、学生服をきた男にズボンを脱がされ、無理やり足を開かれ押さえつけられていた。

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