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双子のキティ

美形×強面(メインCP)
美形×可愛い(サブCP)

メイン
攻…秋田晴海(あきたはるみ)
受…木村紫音(きむらしおん)

サブ
攻…滝内克也(たきうちかつや)
受…木村梨音(きむらりおん)

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私立神楽山高等学校。全寮制の男子校で広大な敷地を持つこの学校には、名物の双子がいた。
一年生の、木村紫音と木村梨音。
兄の梨音は、とても背が低くちんまりとして幼く、とても高校生には見えない。言動や行動もどこかたどたどしく、小動物のようだった。
そして、梨音は稀にみる女顔であったがために、この学校において肉食獣の中にウサギが放り込まれたかのごとくあらゆる生徒から惚れられ狙われていた。
だが、いまだ誰一人として梨音に手を出せたものはいない。


弟、木村紫音。


この男が、それを許さないからだ。
紫音は、愛らしい梨音とは正反対にとても背が高く、筋肉質だった。
梨音と同じく二重だがつり上がり切れ長の目で、眼光だけで人を殺せそうなほどいわゆる強面であった。


「梨音くーん!一緒にご飯たべ…」

ギロリ。

「や…、べ、別に下心があるわけじゃ…、ただ、普通に…」

ギラッ!

「ひっ!ご、ごめんなさい!あわよくば仲良くなって部屋に連れ込もうとか思ってましたー!」


梨音に声をかけた生徒が走って逃げていく。
このように、大抵の生徒は例え不良であろうが何であろうが紫音の無言の睨みだけで脱兎のごとく逃げ出すのである。

きれいなバラには棘がある。紫音は、梨音を守る棘そのもの。
梨音には、紫音の認めたものしか近づくことができない。
二人は、クラスも寮の部屋も一緒。常に行動を共にし、できているのではないかと噂されるほどであった。

「おい、木村梨音だな?」

放課後、いつものように二人で靴箱へ向かい、履き替えようとしたところで後ろから声をかけられた。振り返るとそこには、金髪で制服を着くずした不良たちがいた。

「ちょーっと付き合ってくんねえかなー?」
「ひっ!」

無造作に伸ばされた手に怯え、さっと紫音の後ろに隠れる。と同時に、紫音が梨音を背中にかばい不良たちをギロリと睨んだ。

「うっ…、や、べ、別に悪いことしようってんじゃないんだよ、ただ、お、屋上にちょっと付いてきてほしいだけで…」
「…屋上?なんのため」

紫音の口から発せられた低く冷たい言葉に不良たちはたじたじとした。

「そ、総長が、話があるから、連れてこいって…」
「た、頼むよ。ちょっとだけ!連れてかないと俺らぶん殴られる」

泣きそうな顔で手を合わせ懇願する不良たちに、梨音が恐る恐る顔を出してこてんと首を傾げた。

「ぱちん、されちゃうの?おにーちゃんたちが、怒られちゃうの?」

か、かっわいい…!

眉を下げてうるうると問いかける梨音に皆が顔を真っ赤にする。

「そ、そうなんだよ。だから、り、梨音ちゃんが来てくれると助かるんだけどな」
「絶対!絶対、何もしないから!もし総長が梨音ちゃんに怖いことしようとしたら、俺ら全員で逃がしてあげるから!」

一瞬にして梨音の虜となった不良たちがずいと近づくと、梨音はびくりと怯えて紫音の後ろに引っ込んだ。と同時に紫音に睨みおろされ、不良たちは赤かった顔を青くして後ずさる。

「…紫音と一緒なら、行く。」

紫音のシャツをきゅうと握り、ちらりと覗き込みながら言う梨音に不良たちはまた顔を赤くした。

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