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7

太陽へ

お前とはガキの頃からの付き合いだ。お前はほんとによわっちくて、泣き虫で。おれがいつも助けてやってた。俺がいないと何にもできなくて、俺の後ばかりバカみたいについて回ってたよな。
俺はそんなお前がうっとおしい時期もあったけど、ほんとはいつも必ず俺についてくるお前がかわいくて、ついてきてくれるのが嬉しくて仕方なかったんだ。俺、一人っ子だから、弟ができたみたいで。お前の事は、何があっても俺が守ってやるって思ってた。

中学になって、どんどんかっこよくなっていくのにお前はちっとも変わらなくて。高校の入学式でお前を見た時は俺、本気で心配したんだぜ?このまま俺にべったりで、こいつは将来大丈夫なんだろうかって。

まさか、お前が俺を好きだったなんて思ってもみなかった。

告白されて付き合ったものの、俺は自信がなかった。お前は俺を好きだって言うけど、それは一種の刷り込みでしかないんじゃないかって。ガキの頃から助けてもらってたから、好きだと勘違いしてるんじゃないだろうかって。お前の気持ちに、自信がなかった。

でも、言えなくて。そうだって、ただの思い込みだったんだって太陽に言われるのが怖くて。
言葉にしなくてごめん。ズルくて、ごめん。

俺がお前の周りの奴らから何て呼ばれてたか知ってるか?『カラス』だって。黒くて地味だから、キラキラしたものが欲しくてお前に近づくカラスだって。

その通りだ。俺はカラスだ。お前が眩しくて、お前に少しでも近づきたがる醜いカラスだ。

俺、アメリカに行くよ。

お前、知ってるよな。俺が勉強はそんなにできないけど、薬学や調合、薬の開発に関してだけ例外だって。ほんとはちょっと前から、向こうの研究所から来てほしいって頼まれてたんだ。でも、ずっと断ってた。

お前が心配だったから。お前一人残していくのが不安だったんだ。おれにべったりなお前が、俺がいなくなって大丈夫なのかって。

でも、そうじゃなかった。俺は守ってるつもりが、いつの間にかお前に守られてたんだな。いや、本当はもうずっと昔から、守られてたのかもしれない。
太陽。お前は名の通り太陽だ。黄金に輝く太陽だ。演説の時のお前は、本当に眩しかった。

だから、行くよ。俺はカラスだから。キラキラ黄金に輝くお前に近づくために。

だから太陽。待ってて。

会いに行くよ。

俺が太陽に近づけるほど羽ばたくことができるようになったとき、俺から太陽に会いに行くよ。
その時は、太陽。

俺が、お前を捕まえる。愛するお前を、手に入れに行くよ。


「…―――――――アキラの、ばかやろう…!」

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