×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




輝く王子と黄金のカラス

この学園の生徒会役員を決定するに当たっての票数は2つの合計が必要となる。
ひとつは、人気投票。
顔のいいものが推薦、立候補関係なしに票数を多く獲得すればその人間は役員候補にあげられるのだ。
そして、もう一つ。候補者演説だ。
顔がいいだけで役員を選べば能力のないものが役員になることもある。学園もバカではないから、はじめの人気投票で候補に挙げられた人間に演説をさせて、その演説を聞いた上でもう一度生徒達に投票させるのだ。

野々宮と太陽の人気ははっきりいって五分と五分。

勝敗は演説によって決まるだろう。

候補者演説の前日。太陽はアキラの部屋に来ていた。

「ごちそうさまー!」

アキラの作った料理が食べたいとだだをこね、作っている最中もキッチンで後ろにひっつき回りアキラに鉄拳をくらいながらも出来上がった料理を二人で食べ、満足そうに空になった食器を運ぶ。

「いよいよ明日だな」

片付け終わったアキラと共にソファに座り、コーヒーを飲みながら話し出した。

「うん。当たって砕けろってとこかな。」

太陽が言葉を発した後に、じっとアキラを見つめる。

「なに?」
「…あの、あの、ね」

首を傾げると、太陽はもじもじと指をいじりながらちらちらとアキラの顔を伺う。

「あ、明日ね、演説で失敗しないように、おまじないしてほしいなーなんて…」
「…どうせおまじないのキスしろとか言うんだろ」
「なんでわかったの!?、あっ、」

じろりと睨んで言うと、太陽は目を丸くして素っ頓狂な声を出した後、しまった!と慌てて両手で口を押さえた。

バカだな、こいつ。

思わずくすくすと笑いが漏れる。笑うアキラを見てしゅんとする太陽に近づき、顔を上げさせた。

「あ…」

太陽が何か言う前に、その口に軽く口づけてやる。途端に太陽は真っ赤になり、きらきらと輝いた目でアキラを見た。そしてそのまま、アキラを自分の膝の上に引き寄せる。

「ねね、アキラ。あの、あのね。その…」
「なんだよ」

ちらちらと様子をうかがいながら何か言いたそうにもごもごとしている。

「…お、俺、付き合ってってお願いしたときね。アキラ、俺の事『今のところ最低でいい加減な奴だ』って言ったでしょ。」

…そういえば。崎田の気持ちに気付かなかったとはいえ、人を利用していたんだということでマイナス評価を突き付けてやったんだ。それから色んなことがあって、気持ちも変化したんだけど。崎田たちには、本気だと伝えたけれどもそれを直接太陽には言ってはいない。

「あ、アキラの中で、ちょっとは、その、レベルアップとかしてないかな〜…なんて…」

こいつ、ほんとバカだな。まあ、俺が悪いんだけど。

「…黙秘権を行使します」
「え――――――!!」

アキラの言葉に太陽ががくりとうなだれた。

「そんなことより明日の事考えろよ。野々宮だってバカじゃないんだからな。」
「…今その名前アキラから聞きたくない」

非常にわかりやすいやきもちを妬く太陽がかわいくて、その頭を抱きしめて撫でてやった。

「…見ててね。俺を見ててね、アキラ。俺、アキラが見ててくれたら何でもできるよ。絶対、負けないような気がする。」
「ああ、見てるよ。」

そんな会話を交わして、しばらく太陽と抱き合った。

[ 166/283 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
トップへ戻る