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4

その日遅く、太陽がアキラの部屋を訪ねてきた。へにゃりと優しい笑顔に、アキラはほっとする。崎田と付き合ってると思っていた時期は、もっと長かったのにそんなに離れているとは感じなかったのに。一週間ぶりに見るその笑顔に、なんだかこの一週間が長く感じた。


リビングに着くなり、太陽がそっとアキラを抱きしめる。

「ごめんね、アキラ。一週間もほったらかしにして…」
「ほったらかしってなんだよ。俺はお前のペットか?」
「ち、ちがうよ!」

わざと意地悪っぽくいうと、太陽が慌てて否定する。そんな太陽にアキラはくすくすと笑った。

「うそだよ、うそ。んな焦らなくても。」
「…焦るよ。アキラ、怒ってもう別れるとか言ったらどうしようかって、俺…」

眉を下げ、しゅんとする太陽の頭をよしよしと撫でてやった。太陽が、後頭部をそっと押さえ顔をゆっくりと近づける。と、直前でぴたりと止まった。

「き、キス…してもい…?」

へにゃりと眉を下げ、おずおずと聞く。
…だから、なんでこいつはこんな時にヘタレるかな…

「ダメって言ったら?」
「や、やだ!…し、したい、です。」
「ん…」

一週間ぶりのキスは、なんだか甘く感じた。


「え…?立候補?」

太陽はこくりと頷く。

「前から言われてたんだ。後期に出てみないかって。自信がないからずっと断ってたんだけど、俺、決めた。生徒会長選、出るよ。」


まっすぐに、アキラを見てそう告げる。太陽が、生徒会長に立候補する。野々宮と勝負をするというのだ。この一週間、その準備に時間を取られ忙しくしていたのだと告白される。
恐らく激しい選挙戦になるだろう。顔で選ばれたとはいえ、野々宮だって相当の実力者だ。


「なんでまた急に立候補しようと思ったんだ?」
「…それは、まだないしょ。…だめ?納得してくんない?」

伺うようにアキラを見る太陽に、にこりと笑い頭をくしゃくしゃと撫でてやった。

「いや、いいよ。お前なりの考えあっての行動だろ。頑張れ。」
「…俺、勝つよ。絶対、勝ってみせる。しばらく、一緒にいれなくなっちゃうかもしれないけど…
…俺を、捨てないでね?」

まるで捨てられた子犬のような顔でアキラにすがり、抱きしめてくる。アキラはそんな太陽に、胸がぎゅっとなった。

「…ばぁか」

抱きしめる太陽を、自分もそっと抱きしめ返した。


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